事例

とにかくやってみる。現場主義のDX推進には、 経験から学ぶアパレル業界デジタル化の鍵がありました

株式会社 ヤギ

1893年創業の老舗の繊維専門商社。

大阪と東京に本社を置き(2本社制)、福井・名古屋・和歌山にも拠点を展開。

また中国やベトナムなど海外の製造工場とも連携し伝統ある社風の中、

専門商社としての強みを活かしながらビジネスを展開している。


DXは、中期経営計画に基づいて昨年から進めており、

社内・社外の連携を行いながら効率化を進めている。

https://www.yaginet.co.jp

営業二課(426)課長
藤井 豊 様

目的

  • DXによる、社内・社外とのスムーズなコミュニケーション手法を確立する
  • アナログの業務フローによる無駄、ミスの軽減

結果

  • 海外の生産拠点との連絡・管理がスムーズになった
  • 「DXの取り組み」が、顧客へのコンサルティング営業の武器になる
  • DXによる「新しいビジネスの価値」の創造という大きな目標ができた

利用サービス

DXのメリットを享受するためには、現場にあったワークフロー設計だけでなく、推進役の情熱と将来ビジョンの提示が必要です

DXにより身近な業務が楽になる具体的なイメージが浮かんだ時、すぐに「やるしかない」と決意しました

昨年から取り組みを始めた社内業務のデジタル化・DXプロジェクトは、中期経営計画に基づいて推進しています。

部署の業務としては、都市型セレクトショップを中心とした顧客への販売です。商材は、プロパービジネスであるOEM・ODM商品と、ファイナンスやロジスティックなど商社機能を使った輸入代行業務などです。

最初に「sitateru CLOUD」の話しを聞いた時は「そんなに簡単に上手くいくのか?」という気持ちの反面、現状において客観的に見ても、効率的とは言えない「自分たち流のやり方」がデジタル化されることで、少しでも業務が楽になり売上げにつながればという両方の気持ちがありました。

「DX」という言葉の一般的な意味は知っていましたが、それは概念的なもので、自分たちの仕事にどのように関わるかは具体的にはイメージできていませんでした。

しかし自分の部署を例に考えてみると、仕事がデジタル化されてクラウド上のワークフローに移行できれば、資料の検索と共有がかなり便利になることはすぐに分かりました。机の中に仕舞いがちな仕様書や資料を、時間と場所を選ばずに共有できるため、仕事がスムーズに進められて現場が助かると思いました。また、資料を探す手間がかからないため、営業活動に注力ができます。

さらに会社視点で考えてみても、企画・営業・生産・配送と各担当がプリントアウトされた仕様書を持って業務を進めているので、最新の情報がすべての仕様書に反映されていないことが原因のミスも起こっていました。その点、紙がなくなり情報をクラウド上で一元管理できるようになれば、資料の重複だけでなく、いつでも誰でもどこでも同じ最新の情報を検索し閲覧できます。

スムーズなコミュニケーションができるだけでなく、事故も防ぐことができ、一気に効率化が図れると思いました。

またこのような形でDXのワークフローが進んでいくと、これまでの業務改善だけに留まらず、トラブル情報のデータ蓄積や共有など、個々の力量に依存していた営業活動を組織の力として発揮できるなど、マネージメントの観点からも導入を検討すべきだと思いました。

「sitateru CLOUD」の導入を会社へ積極的に働きかけた最初の動機は、上記のようなものでした。

こういった業務改革は、トップダウンではなく現場の私達が実際に使いながら検証し改善しながら取り組むという地道な作業が必要で、そのためには「とにかくやってみる」という持論があったため、社内の推進役を買って出ました。

外部環境の変化に適応するため「sitateru CLOUD」を使い、DXを推進しています

コロナ禍でお客様の動きも鈍く売上も苦戦する中、社内業務の効率化は急務という状況に後押しされDXを推進しています。

業務のクラウド化に取り組んで約半年になりますが、私の課では現在中国の3拠点も含め海外工場との進行管理に利用しています。

現場の業務を行いながら、クラウド利用を進めるため、課内のメンバーの反応やスキル的な個人差がでることは仕方がないと思っていますが、統括し推進していく立場としては粘り強く進めて行く必要があると思っています。

いきなりすべてのやり方を新しいシステムに合わせるのではなく、現場の状況をみながら自分たちに合ったやり方を模索しています。

しかし今回のコロナ禍で、メンバー達にもこれまでのやり方が当たり前でなくなり、今まで通りは『退化』でしかないことが身にしみてきたようで、社内だけではなくお客様も変えていこうという意識が出てきたように感じます。

現在、お客様と一緒に売上を伸ばし利益を上げていくためにはどうしたら良いか、という観点で積極的にコンサルティング営業を行っており、その時には、自分たちで実際に取り組んでいるDXの話しは、説得力もあると同時にお客様の関心事でもあるため、大きな「営業の武器」になっていると感じています。

海外工場との取引では、特に大きな効果を実感

導入して大きなメリットを実感しているのは海外の工場との連携です。

言語や商習慣も違いコミュニケーションには苦労しますが、デジタル化されたワークフローだとクラウド上のどこに何があるかを予め決めておくことで、仕事がスムーズに運びます。

「sitateru CLOUD」は、一つの案件に対し固有の番号が一つ付き、それに紐付いた形で仕様書など様々な資料を管理しているので、海外の工場とのコミュニケーションが楽になりました。

今までのメールやLINE、電話など複数の手段での連絡は、行き違いやミスを起こしやすいので、最新の資料や連絡履歴が常にクラウド上のボックスの中にあり、検索できるメリットは非常に大きいです。

また、海外工場の立ち上げは、それまで積み上げてきた信頼関係がベースにあるため、彼らも課題解決のため積極的に取り組んでもらいスムーズに導入できました。もちろんシタテルのサポートもあり大変助かりました。

しかし、クラウドをまだ導入していない工場との連絡は、どうしてもメールやFAXなどを使うことになってしまいます。そのため、社内では両方のやり方が共存することになり、管理が複雑になったり社内のDX推進にブレーキがかかってしまう、という現象も起きています。

その点については、原点に戻り、私自身がリーダーシップを持ってクラウドを使った業務フローを標準にするための努力を、進めていく必要があると感じています。

物流部署にも展開することで、部署間の業務効率も実現

クラウドを使った仕事は少しずつ増えてきていますが、いきなりすべての仕事のデジタル化は難しいと思っています。
特にお客様と連携しながら業務を進めるには、少し時間がかかります。

最初は社内、次は仕入先や工場とのやり取りに、そして最終的にはお客様との情報共有と、段階的にやることを絞りながら移行していくべきだと考えています。現状は提携工場とDXを進めて行くと同時に、社内で物流など別棟で仕事をしている部署の利用に取り組んでいます。通関業務で必要になる仕様書などの書類を、別棟でもすぐに検索して見つけ出すことができるなど、物流の部署でもクラウドを共有するメリットを感じているようです。

将来的には自社の物流システムと情報を連携させて、一気通貫できるよう更なる効率化も視野に入れています。

システムは単なる「効率化」のためだけではなく、働いている人が「夢」を叶えるためにあるツール

今の自分にできることは、このシステムを使って便利さを実感できるメンバーをどれだけ増やせるかということだと思っています。クラウドを使った業務はあくまでもツールの変更です。

導入を進めながら感じていることは、導入の短期的な目的はあくまでも業務の効率化ですが、もう少し先の目標を見据えるべきだと言うことです。それは、最終的にはシステムを使うことで「お客様に新しい価値を提供できること」ではないかと考えています。

例えば、既存ビジネスのOEM・ODM事業を省力化して、余力が出た人的リソースを新しい商品開発や新規事業のメンバーにしていくことで、既存概念にとらわれない新規のビジネスが創造されます。

そして、会社に新しい価値が生まれ、それがまたお客様のためになっていく。そういった状態を目指すのがひとつの目標です。

我々だけが効率化され利益を生むような仕組みは、決して長続きしないと思っています。デジタル化には「商圏を守って行くだけのビジネススタイルから、新しいビジネスへチャレンジできる『夢』を次の世代へ引き継いで行く」といった大きな理念も必要なのではないかと感じています。

繊維業界は厳しい状況が続き、そこにコロナ禍もあり会社の効率化は急務ですが、DXはそれだけに留まらない「大きな変革が起きるパワー」を持っていると思います。そのために、「sitateru CLOUD」が業界のすべての方にとって価値のあるツールになることを期待しています。

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