事例

「sitateru CLOUD」による生産管理業務の効率化は、ゴールではなく事業を成長させるための手段

野村貿易株式会社

2017年に創業100周年を迎えた歴史ある総合商社。大阪・東京に本社を置く。


旧野村財閥を源流とし、「インダストリー部門」「フード部門」「ライフ部門」の3部門を主軸に、輸出入業務を展開している。取扱商品は1万点以上に及び多くの商品構成を誇る総合商社。


https://www.nomuratrading.co.jp/

ライフ部門 アパレル第2事業部 海外ファッションチーム  部長 田山 敬一 様
ライフ部門 アパレル第2事業部 海外ファッションチーム  チャン エルダ 様

目的

  • 海外生産工場との業務フローを見直し、クラウドシステムを活用した効率的な生産管理体制を構築する
  • 生産管理の効率化により業務の役割を変更し「営業活動」を活性化させる

結果

  • 海外生産拠点との情報共有により連絡・管理がスムーズになり、業務効率が大幅にあがった
  • 業務の再構築が進んだ結果、展示会出展など積極的なプロモーション活動に注力できて成果につながった

利用サービス

生産管理業務のデジタル化における成功の鍵は、現状の業務フローやツールを見直し新しいシステムに合わせて再構築すること

既存のビジネスを発展させ新しいコンセプトのチームを立ち上げた

野村貿易は南洋での事業を興すべく1917年に立ち上げた野村南洋事業部を源流としています。

衣食住から資源、化学品、機械まで取り扱っており、総合商社としてのラインナップで、また戦前から基盤のある東南アジアを中心とする海外ネットワークを駆使し、様々な事業に取り組んでいます。

今回シタテルのクラウドサービスを導入したのは、ライフ部門の「海外ファッションビジネスチーム」です。以前は、ワイシャツをベトナムで製造し日本に輸入して国内販売していた「シャツビジネスグループ」として活動していました。

しかしワイシャツ販売の競争激化の背景もあり、2013年ごろから海外に販路を求めると同時に効率的な業務を行える体制づくりを目指して、2021年4月にグループを分ける形で海外販売の専門チームを立ち上げました。

コロナ禍によるビジネス環境の変化はチームが目指していた業務効率化を加速させた

新しいチームのビジネスフローは、ヨーロッパを中心とした海外のクライアントから直接注文を受け、それをベトナムの自社工場で製造を行い、工場からクライアントへ納品するという流れです。

日本では、営業から受注・生産・納品までを管理する役割を担っていますが、システム導入前後でこの流れは変わりません。

ちょうどチーム立ち上げのタイミングとコロナ禍が重なり、ビジネスの環境が大きく変わってしまいました。

しかし当初のコンセプトである「ネットを活用して、場所の制限を受けずに最少人数で最大限のパフォーマンスを発揮する」という体制づくりは、予期せず「その考え方が必要とされる環境」になり、本格的な取り組みを加速せざるを得ない状況になりました。

sitateru CLOUD 導入前の生産管理業務の流れと課題

sitateru CLOUD導入前は、クライアントからの注文情報を日本で確認し、ベトナム工場の生産現場へ伝える際に、「仕様書の共有」「仕様の指示」「生産の進行管理」などの業務ごとに、メール・ストレージサービス・電話・LINEなどのツールを組み合わせて運用を行っていました。

しかしどのツールも汎用性を重視しているので私たちのビジネスで利用するには一長一短あり、かえって作業効率が悪くなるケースもありました。

たとえば仕様書の情報共有のために利用していたストレージサービスは、海外とのやりとりにセキュリティーなどの制限があったり、フォルダーを使ったデータ管理の煩雑さも大きな課題でした。

仕様書をメール添付で送受信する場合も、容量制限のため分割する必要があり、データがすべて送信されているか確認に工数を要していました。

このようにsitateru CLOUD導入前は、
①クライアントや工場との進捗管理は、対応するツールや手段がばらばらだった
②各ツールは機能制限があり利用しづらかった
などの課題がありました。

sitateru CLOUD導入の本当の目的は効率化の先にある

さらに業務拡大に伴い、取り扱うアイテム数が増えていき同時進行で複数アイテムの生産管理をする必要があったため、生産管理の効率化は急務となりました。

このような状況のなか、シタテル主催の「DXワークフローのセミナー」を受講する機会があり、「sitateru CLOUD」を活用すれば現状の課題を解決できるのではないかと考えました。

早速シタテルに弊社の状況を説明して活用方法のコンサルを受けた結果、「sitateru CLOUD」が現状の課題を解決してくれることはすぐに理解できました。

しかしそれ以上に導入を決断した大きな理由は、業務効率化の先にある「我々が営業に集中できる環境を作る」という目的を実現するために必要だと考えたからです。

このようなITを活用したシステム導入には通常、初期投資に大きなコストがかかりますが、sitateru CLOUDは、費用的にもスモールスタートができるサービスのため、「とりあえずやってみる」という形で取り組めたところも導入を後押ししてくれたと思っています。

ワークフローをデジタル化するメリットは、「ツールの一元化」「時間と場所に縛られない情報共有」「検索機能」

システム導入後に生産管理業務で大きく変わったことは、工場とのコミュニケーションツールがひとつに集約された点です。

クラウドを利用することで、生産の進行管理の情報が「アイテムごとの品番」に紐付けされ、そのアイテムに関する「最新の仕様書」「制作に関する指示・やり取り」などが時系列で管理できるようになりました。

さらに海外工場の進行状況が日本でリアルタイムに確認できるので、弊社のように海外の顧客と工場をコントロールすることが多い企業にとっては大きなメリットとなりました。

またその品番から「貿易業務」の書類も管理できるため、インボイスや輸送情報(shipping関連)、その他通関に関する書類なども最新の情報が検索・確認できるようになり、作業効率が大幅に改善されました。

クラウドシステム導入に伴い、根本的なワークフローと役割が再構築された

情報をデジタル化して一元管理できるようになったので、チーム内の役割分担や仕事の流れも大きく変わりました。

現在では、以下の流れで仕事を進めています。
①クライアントから日本に発注
②仕様書を含めた注文内容をベトナムの工場と共有する
③生産管理は全てベトナムの工場で行い、確認作業はクラウドシステムの「各アイテムを管理しているページ内」でチャットを利用する

sitateru CLOUD導入後は、実質的な生産管理業務をすべてベトナムで行い、日本では生産の進捗を確認しながらクライアントとの調整を行っています。

以前は日本で行っていた業務をベトナムに移管したことによる役割分担の変更は、情報がクラウド内に集約・一元化できたことで実現できたと考えています。

日本の事務所から、受注した「アイテム毎の『紙の』ファイル」が無くなったことが、ワークフローの大きな変化を表していると思います。

2年で実現できた効率化の先にある「営業成果」

sitateru CLOUDを利用して、今年(2023年)で2年となります。

システムの導入前後を同条件で計測できないため、導入効果を客観的な数値で比較することはできませんが、取り扱っているアイテム数とそれに関わる人員を考えると以前のやり方では現在の業務量をこなすことは難しかったと思っています。

また当社の顧客は主にフランスを中心とした海外企業なので、安定的に売り上げを伸ばしていくためには「製品サンプルの提案」などの積極的なプロモーションが必要とされます。

顧客にとっての関心は、取引先の効率化ではなく営業力や提案力の充実です。なのでシステム導入により「生産管理の効率化」が進み業務が軽減されたら、そのリソースを営業・プロモーション活動へ注力したいと考えていました。

そこで新たなプロモーション活動への取り組みの一つとして、「ISPO」というドイツ・ミュンヘンで開催される世界最大級のスポーツ用品国際総合見本市の『ISPO AWARD』に当社のオリジナル製品を出展しました。

結果、おかげさまで弊社のジャケットが2年連続して「Top Products賞」を受賞し、その実績が大きく影響して取り引きを増やすことができました。

このような活動に挑戦できたことも、以前と比べ業務負担が軽くなり売上を伸ばすために本来やるべき業務に集中することができたからだと思っています。

今後は情報のデジタル化を更に発展・進化させ、ヨーロッパ市場のニーズに対応できる体制を作っていきたい

現状、sitateru CLOUDを活用した生産管理には満足していますが、今後はこの仕組みを更に活用して販路拡大を行いたいと考えています。

私たちのメインの顧客がヨーロッパの企業なので、アパレル販売に関しては国内と少し状況が異なります。

ウクライナ問題はEU経済圏に大きな影響を与えており、以前の注文と比べると「短納期」「小ロット」の傾向が強くなってきています。

それに対応するためには現状行っている「生産管理のデジタル化」を更に発展させ、オーダーに合わせた生産体制を強化する必要があると考えています。

またヨーロッパでは環境問題に対する意識の変化が進んでおり、アパレル業界もSDGsやトレーサビリティに対する取り組みが必須となっています。

とくにフランスでは、2022年に「売れ残った衣服の廃棄を禁止する法律」が施行されるなど国をあげて取り組んでいる状況です。

今後の取引では製品に対する環境配慮の「証明書」が要求されることも予想されるため、さらにビジネスを拡大していくために、現状の生産管理システムを「原材料」や「トレーサビリティ」の情報にも対応し、発展させていきたいと考えています。

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