事例

リブランディングを加速し進化させる、オリジナルユニフォームのデザインの力

株式会社メニコン

愛知県名古屋市中区に本社を置く国内大手のコンタクトレンズメーカー。


2000年には遠近両用コンタクトレンズを発売、2001年には定額制会員システム「メルスプラン」を開始した。2022年現在で134万人の会員を獲得しており、同社の事業の柱となっている。


また文化・社会貢献活動にも積極的に関っておりその一環として、「メニコンカップ」や「メニコンスーパーコンサート」への特別協賛を継続している。


https://www.menicon.co.jp/

BtoC事業部 BtoC事業企画部  部長 三枝 宏和 様
BtoC事業管理部 営業管理チーム  チームリーダー 平田 聖子 様

目的

  • グループ会社で個別に運用していた販売店のユニフォームを統一し、「Miru」のリブランディングを共有・推進させる
  • 社内にプロジェクトチームを立ち上げ、さまざまな意見集約を行いながら新しいユニフォームを制作
  • 一部店舗のみの運用だった「男性用ユニフォーム」を新規で制作

結果

  • メニコングループ販売店「Miru」共通のユニフォームができたことで、現場の店舗における新しいブランドの共有が進んだ
  • 初めてのオリジナルユニフォーム制作において、組織間のコンセンサスにプロジェクトチームが大きな役割を果たした
  • 男性用のユニフォームをはじめ、デザインにMiru「らしさ」や会社の方向性を表現できた

利用サービス

4つのグループ会社をひとつのブランドに統合する象徴としての新しいユニフォーム

国内No.1メーカーが仕掛ける、一人でも多くのファンを作るための戦略と挑戦

株式会社メニコンは、昨年(2021年)創業70周年を迎えたコンタクトレンズメーカーです。

創業者である会長田中恭一が1951年に日本で初めて角膜コンタクトレンズの実用化に成功して以来、業界のパイオニアとして多くの商品やサービスを提供してきており、コンタクトレンズを利用されない方も含めて弊社を広く認知していただいていると自負しています。

今でこそ「定額制」は誰もが知るサービス形態ですが、当時としてはかなり挑戦的だった弊社の定額制会員サービス「メルスプラン」は、スタートして20年になります。

国産メーカーとしての高品質な商品提供と同時に、現在(2022年)では134万人のお客様にご利用いただいている実績は、常にお客様目線で新しい販売方法に積極的に取り組んできた証だと思っています。

現在でもコンタクトレンズ事業を中心にして、視覚だけではなく「五感すべてを使い『みる』こと」を商品やサービス、また社会貢献などさまざまな事業を展開しており、一人でも多くの「メニコンファンを作ること」をテーマに挑戦を続けています。

3社の経営統合をする過程で「緩やかな」ブランディングを進める理由

2012年より、「エースコンタクト」「富士コンタクト」「シティコンタクト」の順に、経営統合と組織の統一化を進めています。

同時にリブランディングにも取り組んでおり、2017年に共通ブランドとして「Miru partner」を展開。続いて2019年には各社の名前を看板には残しつつ、ショップロゴを「Miru」に統一しました。

このように弊社では、時間をかけてリブランディングを進めています。

それは、メニコンの販売店グループに加わった3社にもそれぞれ歴史があり、各々の販売店をご贔屓いただいているお客様の存在にも配慮し、短期間に全体のブランドを統一するよりも緩やかに新しいブランドに移行していく形にしたかったからです。

各社の店舗には、立地や個性を背景にして長い間築いてきたお客様との関係性があります。

それを大切に守り生かしながら新しいブランドに移行することが、お客様にとっても自然に感じていただけますし、現場のスタッフもスムーズに受け入れてくれると考えました。

グループ会社全体で取り組んだユニフォームプロジェクト

このように弊社にとってのリブランディングは、4つの会社とその販売網をひとつの「Miru」ブランドに再構築して統合し、一貫したサービスに展開させる長期的な取り組みです。

その中でも、ブランド価値を上げるための重要な施策のひとつが、グループの販売スタッフ約1,000名が着用するユニフォームの「制作プロジェクト」でした。

メニコンの企画部を中心に、各社から参加したメンバーを合わせて発足当初は30名くらいからスタートしました。

その局面に合わせて人数は増減し、最終的には15名前後の担当者で運営した約1年半の活動となりました。

それまでは各社が異なるユニフォームを、それぞれ愛着を持ちながら着用していました。

しかしその「想い」を一旦横に置いて、自由な発想で新しいものを作るという考えに切り替えることが、現場のスタッフはもちろんですがプロジェクトメンバーにとって重要となり、このプロジェクトを成功させるための大きなポイントだと考えました。

また、プロジェクトのメンバー(とくにグループ会社を代表して参加したメンバー)が苦労した点は、実際にユニフォームを着用するスタッフの個別の意見を集約して参画意識を感じてもらい、完成品に対して「納得感」を持ってもらうことでした。

そのためにアンケートを実施したり、実際に現場の店舗に出向いてスタッフの意見を聞いたり会社の考え方などを伝えていきながら、全社から合意を得ることに尽力しました。

要望を具現化して課題が解決できる、オリジナルユニフォームの「デザインの力」

デザイン提案は4社から受けました。

各社とも素晴らしいデザインを提案していただきましたが、最終的には投票によってシタテルさんからの提案に決定しました。

今までなかった男性のユニフォームを制作したり、女性の黒パンプスや男性の革靴といったドレスコードを見直してスニーカー着用も可能にすることは、プロジェクトチームメンバーの「変える」という意思表明であり挑戦でした。

シタテルさんにはその思いをしっかりと受け止めてもらい、「私たちが、このユニフォーム制作で何をやりたいのか、何を表現したいのか」を一番理解した上で、デザインに反映してもらったことが依頼をする大きな理由になったと思います。

社員アンケートからの要望である「接客時に店内を動き回る機能性」や「信頼感や親しみを感じさせるデザイン」といったリクエストに応えていただいたのはもちろんでしたが、シタテルの提案は既製のユニフォームをイメージしていた私たちの予想を超えたデザインでした。

それは突き詰めると「ユニフォームのデザインが目指すブランドを表現している」という言葉に集約されるのかも知れません。

私たちの「考え方」や「想い」を深く理解してデザインされたユニフォームには、「そのユニフォームを着て働きたい」とワクワクさせる力があったと思います。

具体的には、以前の紺やグレーなどのオーソードックスなイメージのユニフォームから、明るいベージュのカラーリングとスタイリッシュなフォルムのモダンなデザインになり、大きく「変わった」という印象を受けました。

また、提案の段階でとても評判のよかった女性用のワンピースは、運用の始まった現在でも「私服として着たい」という声も上がるほど人気のあるアイテムです。

「ユニフォームだから」という先入観や古い価値観にとらわれないデザインが、現場のスタッフに受け入れられた結果だと思います。

店舗によってはワンピース着用のスタッフが多くなってしまい、全体のバランスをとるように調整しているほどです。

スタイルブックを制作して「着こなし方」をサポートしたことが、お客様に「どう見られたいか」を考えるきっかけに

今までオリジナルのユニフォーム制作の経験はありませんでしたが、完成品は想像していた以上のアイテムができたというのが正直な感想です。

とくにリニューアルの目玉でもある「男性向け」のユニフォームは、大きな成果だと思っています。

清潔感のあるブルーグレーのジャケットとパンツは、曲線を使った柔らかいシルエットに仕上がっており、これまで自前のスーツを着用していた男性スタッフにとっては大きな変化になりました。

また男女共に採用した「スニーカーの着用」は「親近感」や「はつらつとした印象」をお客様に感じていただくことができただけではなく、自己表現の重要なアイテムになったと思います。

一方で女性用のユニフォームも、カラーレスジャケットやワンピース、スタンドカラーのシャツなど、アイテムが増えて複数の組み合わせができる仕様になっているため、着こなし方に悩むスタッフが出てくることも想定されました。

そこで社内向けにスタイルブックを制作して「スタイリング提案」の試みを行いました。

このスタイルブックは、プロジェクトチームにとっても、とくに力を入れた施策のひとつで、組み合わせに悩む現場のスタッフにも大変好評です。

個人には着こなし方の参考になったことはもちろんですが、メニコングループの全店舗にも統一感が出て、非常に効果的だったと考えています。

また運用開始後に店舗のスタッフから、「お客様以外にも、同業問わず近隣店舗のスタッフから『新しいユニフォーム素敵ですね』と話しかけられて驚いた」との声が聞かれました。

このことは、ひとつの「気付き」を与えてくれました。それは、自分たちが思っている以上に周囲からは「見られている」ということです。

毎日の業務に追われる中で、そこまでの考えが及ばなかったことを再認識したと同時に、自分自身や店舗、さらに会社がどのように「見られたいのか」を深く考える良いきっかけとなり、ユニフォーム制作を通じたインナーブランディングの効果を感じました。

ユニフォームを変える意味と意義を共有することが重要

プロジェクトチームにはグループ会社から参加している人もいたので、社風や意思決定の手法などの違いも多く、意見の集約には時間がかかりました。

しかし社内の合意をとる難しさと戦いながら、さまざまな立場の異なる人たちの意思を統一していき、最終的にまとまった時の喜びは大きく感じました。

また、プロジェクトを通じて得られたメンバーや関わってもらった人たちとの一体感は貴重な経験でしたし、同じブランドの元で同じユニフォームを着用して働く意味を考えることが重要なテーマのひとつだったと思っています。

そしてユニフォームを決めていくプロセスそのものが「Miru」のリブランディングであり、新しいユニフォームでモチベーションが上がったスタッフが、「みる」ことのプロとしてお客様を対応する日々の積み重ねが、「Miru」のブランドを作っていくと考えています。

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