麹・発酵文化を発信する新しい施設のコンセプトに合った 和テイストのモダンなユニフォーム
三和酒類株式会社
三和酒類株式会社
大分県を拠点に、全国的に知名度の高い麦焼酎「いいちこ」をはじめとして、日本酒・ワイン・ブランデー・リキュールなどを幅広く手がける総合醸造企業。
https://www.sanwa-shurui.co.jp/
辛島 虚空乃蔵(からしま こくうのくら)
本格的な日本酒づくりを体験できる清酒醸造場を有し、発泡酒醸造場や飲食スペース、売店などを備える酒づくりや麹と発酵文化を体験できる施設。
2022年5月「日本酒特区」に認定された大分県宇佐市にオープン。地域の人々が利用できるスペースを備え、麹と発酵文化の発信と地域の交流拠点をめざす。
目的
- 新しい施設のコンセプトを理解してもらい、体現するためのユニフォームのデザイン提案をしてほしい
- 着心地だけではなく、運用面やメンテナンスに配慮した生地で制作したい
結果
- 新しい施設のコンセプトや現場の「想い」を理解したデザインの提案を受けることができた
- 予算や納期の制約がある中で、生地選定など細かい依頼に対して、的確な対応をしてもらい納得のいくユニフォーム制作ができた
利用サービス
変化する時代やブランドイメージを考慮した、スタッフ一人ひとりがコンシェルジェとしての役割を担うためのデザインと機能
全国的に知名度の高い「いいちこ」は、三和酒類の焼酎ブランドの1つ
三和酒類株式会社は、大分県宇佐市の3つの造り酒屋が、1958年に立ち上げた共同の瓶詰め場が前身です(※翌年にもう1社が合流して計4社)。
以降20年ほど瓶詰め場を共同で運営していましたが、「造り」から統合することになり、1972年に4つの会社が企業合同という形で新生「三和酒類」となりました。
当時は日本酒やワインを製造していましたが、企業合同したことを契機に新しい分野へ参入していこうという機運が高まっていました。
そして、日本酒やワイン醸造の技術を生かしながら本格焼酎づくりに挑戦した結果、1979年に生まれた商品が全国的なブランドである「いいちこ」です。
現在はブランドに偏ったプロモーションではなく、「三和酒類」で販売しているさまざまな種類のお酒を知っていただきたいと考えております。
そのため、「三和酒類」のロゴも刷新し、新たなコンセプトの発信として、「麹・発酵文化」を通して「人と人、人と自然」との関係性を提唱する、情報発信なども積極的に行っています。
私たちの日本酒づくりへの思いと、行政の地方創生戦略が繋がった「辛島 虚空乃蔵」
2022年5月、三和酒類発祥の地である宇佐に「辛島 虚空乃蔵」がオープンしました。
3年ほど前から、この地の気候風土が育んだ酒づくりや麹と発酵文化を通じたお客様とのコミュニケーション接点となる施設のプロジェクトが始動しました。
このプロジェクトの動きが加速したのには大きな理由があります。
それは「日本酒特区」の設立です。
今まで法律で厳しく制限されていた清酒製造免許の取得ですが、日本酒特区内で製造免許を受けた製造場を有する清酒製造者が、製造と体験を行う施設を増設する場合に限って、既存の製造場とその施設を合わせてひとつの製造場としてみなすことができる、という法律です。
つまり一定の条件をクリアすれば、現在持っている免許で体験製造場においても日本酒づくりの製造が新たにできるということです。
そのような国の動きの中で、宇佐市もこの「特区」に取り組んだ結果、認定を受けることができました。
そして私たちの「日本酒づくりで地域経済や文化の発展に貢献したい、地域活性化に取り組みたい」という思いが繋がり、「辛島 虚空乃蔵」のオープンにいたりました。
地域の人々が集い、日本酒の麹と発酵文化を世界に向けて発信する施設
本社の清酒醸造場には、昔、地域の方が集まる「虚空蔵寺」というお寺が近くにあったことに由来して、「虚空乃蔵」という名前がついています。
今回、宇佐市の辛島という土地に「特区」という形で、本社と同じ免許を使い酒づくりを行う新しい施設は、本社の醸造場の「虚空乃蔵」と新しい場所の「辛島」を合わせ「辛島 虚空乃蔵」という名前にしました。
この施設のコンセプトは「宇佐という地から世界へ 発酵文化で紡ぎだそう」というものです。
そして最も大切にしたいことは「地域との繋がり」です。
売店では、商品を販売するだけの場所ではなく、ひとつのコミュニティとして捉え、時間をかけてお酒を醸造していくように、お客様との関係性も時間とともに深まっていく「場」にしていきたいと考えています。
その他にも、辛島 虚空乃蔵では、ガラス越しにお酒の製造工程を見学しながら、そのお酒に合うおつまみが食べられるスペースがあります。
また、そこで提供するメニューも、大分県産や地元・宇佐の方にもご協力いただき、地域にこだわった食材を仕入れております。
たとえば、宇佐市で育った焼酎の原料である大麦を使い、地元のこうじ屋さんに辛島 虚空乃蔵のオリジナル味噌を作ってもらい、大分県産の魚や鶏肉などを漬け込んで焼いた「宇佐辛島”味噌麹”焼き3品盛り合わせ」など、地域の食材と発酵というテーマに沿ったメニューを提供しております。
このように、「辛島 虚空乃蔵」であつかっているお酒や食事には、伝えたい「物語」や「背景」がたくさんあるので、来店いただくお客様一人ひとりに丁寧に伝えていきたいと思っています。
建物からユニフォームまで、細部にわたる「こだわり」
施設の建物においても、お酒の文化を伝えるために多くのこだわりが詰まっています。
中庭を囲むように配置した建物は、伝統的な酒蔵にある「下野(げや)」という小屋根でつながっており、壁も地域の土を使った土壁になっています。
さらに、土壁の中には焼酎や発泡酒の原料にも使われる「麦」を混ぜ込み「麦秋」をイメージした黄金色の模様が浮き出るように作られています。
このように建物やロゴマークを初めとしたビジュアルが具現化され、施設の全体像が固まってきたところで、次のステップとしてスタッフユニフォームの検討に入りました。
シタテルには以前別件で問い合わせをしたことがあり、その時の親切な対応や、SDGsを意識した提案内容がすごくよかったのを覚えていました。
その時は相談までとなりましたが、次回制作する機会があれば依頼したいと決めていましたので、辛島 虚空乃蔵のユニフォーム制作は迷わずに依頼を決めました。
納期・予算の制約の中、施設のコンセプトを理解して具体化したデザイン提案
今回のユニフォームは、全部で5アイテムを制作しました。
売店や利き酒の案内をするスタッフジャケット、飲食スペースのスタッフエプロン、製造スタッフの半袖・長袖Tシャツ、そしてオリジナルトートバッグです。
まずは、施設のコンセプトや内外装を含めたデザイン計画、また予算・納期などを提示し、シタテルからデザイン提案をいただきました。
ジャケットは、モダンな作務衣調のデザインで、前が藍色とブルーグレーの2トーンカラーになっている印象的なデザインです。
こちらは、一般の方が製造体験できる清酒醸造場や売店、利き酒コーナーのある「米の蔵」で、お酒や施設の説明をするスタッフが着用しており、「お酒のコンシェルジェ」をイメージした少しかっちりとしたデザインで、丁寧な接客の際の上質感を表現しています。
また、同じカラーをベースにロゴマークを全面プリントしたエプロンは、発泡酒醸造場と飲食ができるスペースのある「麦の蔵」のスタッフがドリンクや軽食をサービスする時に使用しています。
親しみやすいデザインで、施設の雰囲気ともマッチしています。
着心地はもちろん大切にしたいと思っていましたが、洗濯をしてもシワになりにくい生地や運用面における機能についても重視しました。
シタテルには、候補のサンプル生地を何種類か送付してもらい、それを実際に濡らしてどれくらいシワになるかなどの実験を行いました。
おかげさまで納得いく生地を選ぶことができ、スタッフが自宅で洗濯してもシワを気にせず、そのまま着用することができています。
年齢層が幅広いスタッフにも好評。お客様からの販売の要望もあり検討中
制作したユニフォームは、施設の雰囲気に溶け込むだけでなく、役割の異なる館内スタッフ全体の統一感が出たことも大変好評です。
スタッフは幅広い年齢層ですが、どの年代にもマッチするデザインになった点もよかったと思っています。
またうれしいことに、お客様から、エプロンやTシャツなど販売を希望する声をいただいており、今後オリジナルグッズとして販売も検討したいと思っています。
「辛島 虚空乃蔵」は、今年(2022年)5月28日にオープンしたばかりですが、おかげさまで毎日たくさんのお客様にご来店いただいています。
遠方からのお客様やリピーターの方も増えており、近所のお酒を飲まれない方も毎日お饅頭を買いに来店くださるなど、少しずつ地域に根付いてきていることを実感しています。
想いのこもったユニフォームを着用したスタッフ一人ひとりが、この施設のテーマである「日本酒の楽しみ方」や「麹と発酵文化」について、これからも丁寧にお客様に伝えていきたいと思っています。