導入事例
CASE
作務衣コート
マイクロ複合施設「K5」は、かつて「第一銀行」だった歴史的建築を改装してつくられています。その社長・渋沢栄一の応接間だった場所を、ライブラリーバー「青淵-Ao-」として、その歴史を追想できるような空間にしました。その中で、バーテンダーの服装も顧客体験のひとつとして重視したかったんです。
僕はこれまで様々なバーに立ってきましたが、基本的にバースタイルの“ベスト”を着ていました。よりカジュアルにしたいと思ったら“エプロン”になってしまうのですが、それは自分らしくないと思うし、肝心な袖周りが汚れてしまい理にかなっていない。
それに、海外で仕事するときに、日本人としてのアイデンティティをスタイルで表現したいなと常々思っていたんです。
今回、Aoのお茶や漢方をイメージにも合うため、新しい“バーテンダーのワークウエア”の第一弾として、作務衣のような前重ねの羽織を作りたいと考えました。ただ、自分たちだけで完全なオリジナルデザインをつくるのは、デザインやロットの部分でハードルがあり、sitateruと一緒にできないかと相談しました。
sitateru CSTM(カスタム) のベースデザインを元にしながら、コラボレーションとして、作務衣コートを特別に仕立ててもらうことにしました。
内ひもで着崩れを防ぎながら、表はシルバーの鋲を重ねるという、スタイリッシュな仕様にしたりと、機能性やディテールにもこだわりました。
既存のものを買うよりは、難しいし、お金もかかるし、思ったより大変でした(笑)でも、これもできるんだあれもできるんだ、というカスタマイズの自由さに驚きました。
ずっと構想していた、バーテンダーの新しいスタイルを創るということに挑戦でき、最終的にとても満足いくものができて、よかったです。
バーは、ドリンクを楽しむという非日常体験の場。そこでドリンクを出す人の容姿も、ひとつのエクスペリエンスです。何を着ているかで、その場の雰囲気や、その人のスタイルをつくると思っています。
実際に、お店で着ていると、「オリジナルですか?」「お店に合っていていいですね」と声をかけられることもあります。
今後は、生地やディテールを変えながら、このスタイルを “エプロン”みたいなひとつの新しいウエアのカテゴリとして広げていきたいんです。もちろん他のバーや飲食店でも使ってもらいたいですし、よりよい日常を得るための普段着でもいい。飲食店のスタッフが着ていて、それを見てお客さんが買うという、新しい共存関係を作ってみたいです。