ものづくりにこだわる純国産カメラ・レンズメーカーが、 アパレルグッズを顧客とのコミュニケーションツールとして活用
株式会社シグマ
目的
- アパレルグッズを活用して新しいブランディングを表現するツールにしたい
- 高品質のオリジナルグッズを制作して自社サイトで販売する
結果
- 品質にこだわった商品が制作できて販売実績も上がってきた
- アパレル制作の相談窓口ができ、さまざまな企画を具現化できるようになった
- ファンとの新しいコミュニケーションのチャンネルができ、新たな結びつきが生まれた
利用サービス
「シグマならでは」のオリジナリティあふれるコンテンツを使った、ファンが喜ぶアパレルグッズ
デザイン性を全面に打ち出したリブランディングを進めている、国際的なカメラ・レンズメーカー
株式会社シグマ(以下シグマ)は、今年(2021年)で創業60周年となるカメラの交換レンズを主力とする光学機器メーカーです。
神奈川県川崎市に本社を構え、唯一の生産工場を福島県会津地方におき、自社ブランドのデジタルカメラの開発・製造を全てメイドインジャパンの体制で生産をしています。
一般の方にはそれほど馴染みのないブランドかも知れませんが、プロフォトグラファーやカメラを趣味としている方には広く認知されており、過去10年の売上規模でみると、交換レンズメーカーとして、大手ブランドに迫る高いシェア実績を誇っています。
2012年より、ブランドコンセプトを大きく変えました。今までにないデザイン性を重視したブランディングを進めています。
デザインにこだわったのは製品だけではなく、カタログや販促品などに至るまでコンセプトを一貫させ、シグマブランドのイメージアップを図りました。
また、京都で行われるフォトグラファーの発掘を目的としたアートフェスティバル「KG+(ケージー・プラス)」に公式スポンサーとして参加するなど、写真文化の支援などにも力を入れています。
アパレルグッズを販売する以上は、「商品」としての完成度に「こだわる」
シタテルとはもう3年ほどの付き合いになりますが、「KG+」というアート指向の写真展に出すグッズを作るためのアイデアについて相談したことがきっかけです。
グッズとして販売するに耐えうるクオリティを維持するためにはどうすればよいかなど、アパレルのプロとして、さまざまな制作のサポートをしていただいています。
また、弊社アパレルグッズ定番の一つである「レンズおたくTシャツ」ですが、それを作るきっかけとなったのは、パートナー企業の方が日本に視察に来ていた時のことでした。
工場を見学されたCOO(最高執行責任者)の知識の豊富さに弊社のスタッフが「レンズおたく」ですねとつぶやいたことがはじまりでした。
その言葉を気に入ったパートナー企業がオリジナルTシャツとして製品化したのです。そんな日本語を使った独自のデザインが逆輸入的に日本でも話題となり、販売することになりました。
以前は、Tシャツなどのアパレルグッズを「販促品」としての位置付けでしか考えていませんでしたが、シタテルの制作したグッズのクオリティは、「商品」として販売できる水準にあると感じました。
分野は違いますが、私たちも「ものづくり」のプロとしての自負はありますので、アパレルグッズに対しても製品のクオリティにはこだわっています。
何度か制作をお願いした結果、素材選びや縫製、また納期管理までシタテルにお任せすれば私たちの求める品質で仕上がることがわかりましたので、グッズを「商品」として販売していくことになりました。
「シグマならではのコンテンツ」は、ファンにも社員にも喜んでもらえる
弊社のファンの多くは、大手メーカーにはない私たちの魅力を理解していただいています。
一方で「レンズおたく」というTシャツを一緒におもしろがってくれる方々もいらっしゃるように、独自の、しかし明確な価値観を持ってレンズにこだわる方が多いと思います。
弊社の社員もカメラ・レンズ愛好家が多く、その「こだわり」がメーカーと顧客の間で共有されていて、それがひとつの信頼関係にもなっているように感じます。
現在、オンラインショップで販売しているTシャツなどのアパレルグッズは、その関係性を象徴するひとつのツールとなっています。
たとえば、「レンズ構成図Tシャツ」というデザインがありますが、一般の方にはどのTシャツも同じようなレンズの設計図(構成図)に見えるかも知れませんが、ファンの方たちにとってみると「105mmのマクロレンズを選択したセンスはよい。シグマさんは『分かっている』」と喜ばれるのです。
また「fp L」という新製品のデジタルカメラは、ブラックのボディに「fp」のホワイトのロゴが入り、その下に黒い光沢の「L」のロゴが入っている挑戦的なデザインになっています。
そのスタイリッシュなデザインコンセプトをグッズにも反映させたくて、黒い生地にロゴを刺繍して「L」を素材感の異なる質感のプリントで表現するなど、こだわったパーカーのデザインにしました。
結果としてパーカー自体の商品としての価値もあがり、売れ行きにもつながりました。
また製作したTシャツなどを開発に携わった社員には無料で配布しエンゲージメント向上に活用しています。
シグマの社員は、お客様に負けず劣らず「レンズ愛」が強い人が多く、さらに自分の関わった商品に関しては人一倍思い入れがあります。
しかし商品であるレンズは高価なものも多いため、なかなか社員でも購入ができないものもあります。そこで新商品のTシャツを社員にプレゼントしており、大変喜ばれています。社内のインナーブランディングにもつながっていると感じています。
グッズを通してお客様とつながり、コミュニケーションをすることで、お客様の求めていることを理解する
アパレルグッズの売上げは、当初の予想より好調で、人気のアイテムは追加で発注をしています。
社内では当初、「Tシャツでお客様が喜んでくれれば」とか「売れたらいいね」という感じで、この企画に関しては緩い雰囲気もありましたが、今では「プロモーション効果」だけではなく、営業部門も「売上げ」を期待する商材になっています。
また、コロナ禍以前は弊社のお客様と展示会などで交流する機会はあったのですが、現在はなかなかそういう交流の場が持てない状況です。
そんな中、新製品発表ライブやオンラインショップでグッズに対してに反応や感想が寄せられることで、グッズがお客様とのコミュニケーションツールとしても機能していると感じます。
弊社のオンラインショップのなかで実際のお客様のコメントを読むと、アパレルグッズを喜んで購入いただいていることがわかり、制作する私たちの励みになっています。
一方で、お客様はレンズに対してこだわりを持っている方が多いので、アパレル製品の品質に関してもお金を出す以上はものづくりとして厳しい見方をする方も多いようです。
しかし最近はその方たちから、「着心地がいい」とか「デザインがクール」など、SNSや販売サイトを通じて評価をいただくだけではなく、「シグマのロゴを身に着けたい」という声も年々増えているので、ブランディングの成果も出てきているように感じます。
また販売サイトを通じて、「こんなTシャツがほしい」などの声も聞かれるようになりました。
例えば「ゴースト(光の乱反射)のシミュレーション」の模様をTシャツのデザインにしてほしいなどと、かなり「マニアック」なリクエストも寄せられています。
今までもレンズに関しては様々なご要望やご意見をいただいてきましたが、アパレルグッズに対するリクエストは、「一緒に、おもしろいコンテンツを探していく」という、お客様と私たちの共同作業的な楽しさもあるだけでなく、お客様が弊社に何を期待しているかを知るいい機会になっているように感じます。
私たちにとっては、新しいお客様との新しいチャンネルができたと捉え、大切にしていきたいと思っています。