事例

ボトムアップで実現したユニフォームのリニューアルは、接客の質を向上させると同時に目指すブランドを全社で共有する施策になった

株式会社第一寶亭留

北海道札幌市、定山渓温泉を本拠地に、8つの宿泊施設の運営と飲食業を手掛ける。

近年では新しいコンセプトのホテルや旅館、飲食店などを次々とオープンさせる「攻め」の経営で注目される企業。


【事業内容】

・ホテル・旅館経営

・飲食店経営


https://jyozankei-daiichi.co.jp/

経営企画室 採用広報室長
大島 彩乃 様

目的

  • 「柔らかい接客」を体現するためにデザインを変更したい
  • インナーブランディングの一環としてユニフォームのリニューアルに取り組む

結果

  • リニューアルしたことでスタッフの所作も変わり、目指す接客に近づくことができた
  • ユニフォームのリニューアルを通じて接客をはじめ、ホテルの目指す方向性の共有ができ、ブランディング施策につながった

利用サービス

ゆったりとした和モダンなデザインで「温泉の温もりを感じる柔らかい接客」を体現するスタッフコート

老舗として宿の伝統を守りながら挑戦を続ける「攻め」のブランド戦略

株式会社第一寶亭留(だいいちほてる)は、今年(2023年)で創業66周年を迎える企業です。

新しいホテルや旅館が多い北海道の宿泊業界の中では、老舗になると思います。

当社は、宿泊事業の領域を超えて「旅全体を豊かにしよう」というビジョンをかかげており、それぞれコンセプトの異なる旅館を8軒と飲食店5店舗を展開しています。

老舗としての歴史・伝統を守りながら革新的なチャレンジを続けています。

創業時は、「定山渓㐧一ホテル」という表記でしたが、15年ほど前に「第一寶亭留」に改名しました。

この表記は、開業当時に宿泊した高名な書家が宿に感銘を受けて書いた「第一寶亭留」が由来です。

篆書(てんしょ)といわれる馴染みが薄い書体ですが、「寶(たから)が留(とど)まる亭(やかた)」という意味には、私たちの目指す宿の姿そのものを表しており、ホテルのもつ快適さと、旅館らしいおもてなしの心を融合させた宿でありたいという想いが込められています。

「物語」を感じる宿や飲食店のコンセプトはすべて社内で企画し具現化

新しい宿やサービスを立ち上げる時は「物語」を大切にしています。

「厨房へと料理人たちがお迎えする宿」や「宿の中に精肉店と酒屋がある」など一軒ごとに異なる魅力的なコンセプトはすべて社内で企画し、単に「おいしい」や「雰囲気がよい」だけではない付加価値を感じていただける宿づくりを目指しています。

企画や建物のデザインなどすべて自分たちで考えています。

その理由は、宿の在り方やコンセプトをしっかりと定めた上で「お客様の楽しい体験」をイメージしながらサービスを作り上げることで、「ここにしかない体験・時間」をお客様に提供することができると考えているからです。

個性的な宿が多い分、好き嫌いは分かれますが、「楽しかった!また絶対来るね!」という力強いお言葉をかけてくださるお客様がいることも私たちの励みになっています。

以前のユニフォームに感じていた課題とリニューアルの方向性

このように、施設やサービスの「物語」や「コンセプト」を大切にしているため、ユニフォームのリニューアルも社内で方向性を検討しながら進めました。

以前の接客スタッフのユニフォームは、フロントスタッフを中心に20年近く黒いスーツを着用しており、格式のあるホテルの「執事」または「コンシェルジュ」といったイメージでした。

リニューアルのきっかけは、創業65周年をきっかけに宿の在り方を見直した際に現場のスタッフから「スーツスタイルはお客様に少しかしこまった印象を与えているのではないか」という声が上がったことです。

これは私たちが「ホテルと旅館の融合」というコンセプトを目指し、スマートな接客ではなく「温泉の温もりを感じる柔らかい接客」を意識していたので、現場のスタッフはこのスーツスタイルとのギャップを日常的に感じていたのだと思います。

このような背景から今回のリニューアルは、お客様との距離が近くで感じられるようなデザインで進めることになりました。

私たちのコンセプトを理解してくれるパートナー企業を探す

ユニフォームの目指すコンセプトやデザインの方向性が決まったところで、まず既存の取引先のカタログでイメージに合うものを探しました。

しかし分厚いカタログを見ても、無難なデザインが多く新鮮味が感じられませんでした。

シタテルを制作パートナーに選んだ理由のひとつは、サイトに掲載されていた他社の制作事例に、カタログにはないおしゃれなデザインを感じたことです。

また、ユニフォームを着用しているモデルが外国の方ではなく日本人だったことで、自分たちが着用した姿がイメージできた点にも好感を持ちました。

サービスにおいては、費用対効果の高い「CSTM(カスタム)」という生地やボタンなどをカスタマイズしてオーダーできるサービスを活用し、他社にはないカスタマイズ性とサービスも大変魅力的でした。

ユニフォーム新調で変わった接客と、社内に共有されたブランドの方向性

新調したユニフォームは、和のテイストを感じるユニセックスのコートをベースデザインにして、フロントの色合いに合わせたナチュラルなベージュカラーを採用しました。

デザイン性は意識しましたが、「スタッフはあくまでも黒子であるべき」と考えているので、ホテルの空間に溶け込む色合いを選択しました。

このようなやさしい色合いの生地とゆったりと羽織れるデザインに変更にしたことで、接客時の所作にも柔らかさが出たように思います。

とくに宿の顔であるフロントの雰囲気が大きく変わり、常連のお客様からは「ソフトな印象になって親しみやすい」と好評をいただいています。

またスタッフ一人ひとりの「個性」を表すツールとして、多様なデザインのブローチから好きな柄を選び、各々が身に着けています。

このブローチは、就労継続支援B型事業所の方々に手作りしていただいたもので、地域の方とのつながりも感じられると同時にお客様との話題づくりにもなっています。

「温泉の温もりを感じる柔らかい接客」の具現化が実現できたと同時に、会社として目指す宿の姿を、ユニフォームを通じて現場に発信できたことにも大きな意義を感じています。

ブランドの方向性を社員一人ひとりが共有する施策として、ユニフォームのリニューアルは大きな成果を生みました。

予測がつかないコロナ禍を充電期間と捉え前に進む

私たちは「楽しい時間を創る」ことをミッションに、お客様の求める「もの」や「こと」を提供できるようなオリジナルコンセプトの企画を通じて「ここにしかないオンリーワン」の宿泊施設や飲食店づくりを目指しています。

この3年間は想定外のことが起こり業界も地域も大変な日々を過ごしてきましたが、私個人としては予測不可能な先のことを無理に予測して立ち止まるよりもこの環境をある意味「充電期間」と捉え、今だからこそできることに目を向けて企画開発を進めてきました。

環境も少しずつ変わり、ブランディングの効果も出てきたので、これからもお客様の「楽しい時間を創る」ことに全力で取り組んで行きたいと思っています。

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