アパレル制作の常識を変えた「ものづくりの手法」が、 ファングッズの在り方を変える
株式会社長崎ヴェルカ(ジャパネットグループ)
目的
- スポーツチームの活躍を通して、地域の活性化とまちづくりを目指す
- 一般的なファングッズの制作だけではなく、戦略的に「未来のファン」に向けた新しいブランドを立ち上げたい
- 当社のコンセプトを理解して、アパレル制作をサポートしてもらえるパートナーが必要だった
結果
- 新しいコンセプトのブランド「ONE」を立ち上げることができた
- 「sitateru MARKET(シタテルマーケット)」を利用することで、目指すコンセプト商品の制作を可能にした
- ビジネス的には多品種小ロットが要求されるファングッズを、シタテルのサポートで効率的に制作できた
利用サービス
最速・最短でB1昇格を決めた「長崎ヴェルカ」が取り組んだ「戦略的アパレル制作」と独自ブランドの立ち上げ
今、最も勢いのあるバスケットクラブチームが目指す「地域の活性化とまちづくり」
「バスケットを通して、長崎、そして世界に「今を生きる楽しさ」を広げていく」をクラブ理念のひとつに掲げた「長崎ヴェルカ」は、チーム設立の3年目にあたる今年(2023年)、リーグ史上最短で「B1昇格」を果たすことができました。 大きな目標のひとつがクリアできて大変うれしく思っています。
長崎ヴェルカは、地元長崎を拠点としている「ジャパネットグループ」です。 同グループは全国的にも知名度の高い通販事業を展開している企業ですが、この事業以外にもプロサッカークラブ「V・ファーレン長崎」を傘下に擁するなど、スポーツを通じて地域社会に貢献することが重要であると考えて活動をしています。
長崎スタジアムシティプロジェクト
プロバスケットリーグに参入をした背景には、「長崎スタジアムシティプロジェクト」があります。
これはジャパネットグループがサッカースタジアムを中心に、アリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの複合施設を開発する民間主導の地域創生プロジェクトです。
その中には「長崎ヴェルカ」のホームとして利用する、多機能・可変型のアリーナ施設も計画されています。
2024年の開業に合わせて、トップリーグで活躍できるチームづくりを目標として取り組んできましたので、今年B1昇格の目標が達成できたことは大きな意義があると思っています。
クラブ設立時から戦略的に取り組んでいたグッズ制作には、「2つの方向性(目的)」がある
クラブ設立時より、クラブのグッズ制作には2つの目的・意義があると考えていました。
1つ目は、長崎ヴェルカの試合を見てファンになった方に向けたグッズで、エンゲージメントを深めることを目的としたアイテムの制作です。これはスポーツクラブとして、従来のビジネスモデルのひとつです。
2つ目は、かなり挑戦的な取り組みですが、未来のファンに目を向けた商品開発です。 「今の」や「地元の」ファンだけでなく、「長崎を超えた未来のファン」に向けたグッズ制作を行いたいと考えました。
クラブの応援グッズではなくタウンユースを目的とした「新しいブランド」のアパレル
「未来のファン」に向けた商材を考えた時、ユニフォームのレプリカや選手の名前入りタオルのような応援グッズではなく、タウンユースを目的としたデザインそのものが魅力的な「新しいブランド」のアイテムが必要だと考えました。
そこでバスケットボールというスポーツをベースに、独自の世界観を構築したオリジナルブランド「ONE」を立ち上げました。
若者を中心とした「まだ長崎ヴェルカのファンではない市場」へ向けて、独自のファッションやカルチャーを発信することで、「ONE」が注目度の高いブランドとして長崎の「アイコン」のひとつにすることが目標です。
例えば、クラブの売店ではなく、アパレルショップに並んでいる「ONE」のキャップを気に入ってもらい、それが「実は長崎のバスケットチームのアイテムだった」と気付くことで、クラブや地域へ興味を持ってもらえるような仕組みを構築できればうれしいと思っています。
さらに、クラブ立ち上げなどスポーツを核にした地域創生につながるだけではなく、地域に「ONE」という誇れるブランドがあることで、元々課題としてあった「若年層の県外流出」に対する解決のひとつのアプローチにもなるのではないかと考えています。
シタテルの新サービス「sitateru MARKET(シタテルマーケット)」はアパレル制作の概念を変える
このように私たちはファングッズを「スーベニア」と「ブランド」の2つのカテゴリーで戦略的に制作していますが、以前より実施したかった企画のひとつに「季節商品」があります。
期間限定商品を制作するためには、ビジネスとしてリスクを抑えるために「多品種・短納期・小ロット」が要求されるため、アパレル制作は条件的に実現がむずかしい商材でした。
しかし、シタテルの新サービス「sitateru MARKET(シタテルマーケット)」の提案があり、早速トライしてみることになりました。
「sitateru MARKET(シタテルマーケット)」とは、ミニマム30着と小ロットの発注が可能で、すべてのデザインが異なる仕様で制作できるサービスです。
単なる名入れサービス(刺繍やプリント加工)とは異なり、自由なデザインで生地の染めや縫製を1点ずつ対応するため、総柄デザインもでき、「オーダーメイドに近いアイテム」を制作が可能な画期的なサービスです。
このサービスを利用し、これまで実現できなかった「季節商品」をチームイベントで販売するために「アロハシャツ」の制作が進行しました。
ポイントは、オリジナルブランド「ONE」の企画商品として販売をした点です。
4デザインごとに2色のカラーバリエーションがあり、全8種類に対して、3サイズを展開(合計24パターン)することに決定しました。通常のオリジナルシャツ制作では考えられないバリエーションです。
1点ものに近いアイテムでしたので、イベント会場では注目度が高く完売することができました。
ファングッズとは全く異なるコンセプトの商品でしたが、オリジナルデザインを気に入り、手にとっていただいたお客様には商品の希少性も相まって好評いただき、企画としては大成功だったと考えています。
目的に合わせたグッズ制作をシタテルは豊富なアパレルの知見や独自のサービスを駆使してサポート
このようにチーム設立当初から、グッズを従来のような「記念品」や「ファンとのエンゲージメントツール」として捉えるのではなく、経済活動やスポーツを通じた地域創生という大きなビジョンの中で「グッズに何ができるのか?」という視点で取り組んできました。
しかし私たちは、アパレル制作に関しては経験不足のため、商品制作をサポートしてもらえるパートナー企業が必要でした。それは制作の単なる下請けではなく、私たちのコンセプトを理解しながら、アパレルのプロとしてサポートしてもらえる会社です。
幸運にもスタート時から、地元の腕利きデザイナーとシタテルに協力してもらうことができたため、新ブランドの立ち上げはもちろん、企画商品や一般的なグッズ制作も、担当者の豊富な知見をもとに、アイテムに合わせて対応いただいています。
日常のタイムラインに乗るブランド作り
今回の「オリジナルアロハシャツ」企画では、普段チームのグッズを購入しない方へのアプローチができただけではなく、販売(売上)においても実績があがり、新ブランドのコンセプトを形にすることができました。
タイミングよくスタートした、シタテルの先鋭的なサービス「sitateru MARKET(シタテルマーケット)」をうまく活用できたおかげだと思います。
今後も常識や習慣にとらわれずに、スポーツの応援やファンとのエンゲージメントを高めるグッズ制作だけではなく、「日常のタイムライン」の中で出会い、普段の生活にも溶け込むような「ファングッズの新しいかたち」を目指し、幅広い層に支持されるようなアイテムを作っていきたいと思っています。