「富士見保育園流ブランディング」の一環として、目指す保育園を表現したオリジナルユニフォームを制作
(社会福祉法人 岳峰会)富士見第一保育園・富士見第二保育園
【社会福祉法人 岳峰会】
常に地域ニーズに向き合い求められる役割を明確にしながら、富士見第一保育園と富士見第二保育園の保育園を運営する2020年に50周年を迎えた社会福祉法人
【富士見第一保育園・富士見第二保育園】
自然とのふれあいを重視した「ハートinグラウンド」をモットーに、笑顔を生み出す《笑顔保育》や野外で遊ぶ《園外保育》など、楽しい遊びを通したさまざまな保育・教育に取り組む
商標登録をしている「WAKU♡DOKI」を合言葉に、いつでも子どもたちがわくわくドキドキしながら遊べる環境、生き生きとした子どもたちを目指した活動を行っている
▼富士見第一保育園
https://www.gakuhokai.com/dai1/
▼富士見第二保育園
目的
- 50周年記念企画としてユニフォームを制作
- 式典などで着用している「スモック」を、おしゃれなデザインのユニフォームに変更したい
- ブランディングの一環としてユニフォーム制作に取り組む
- オリジナルユニフォームによる他園との差別化を図る
結果
- 制作の過程で、園や保育の目指す姿について改めて考える機会となり、インナーブランディングの効果があった
- 園の雰囲気や特徴を、オリジナリティのあるデザインに反映することができスタッフのモチベーションが上がった
- 新しいユニフォームを通じて他園との差別化ができ、ブランドの発信につながった
利用サービス
「自由に遊びながら学ぶ」という保育方針を体現するオリジナリティあふれる保育士のユニフォーム
「遊びの中から学ぶ」富士見保育園のポジティブ保育
東京都羽村市にある富士見第一保育園・第二保育園は、「ハートinグランド」をモットーに子どもたちが自然と共にすこやかに成長するため、園舎や園庭などの施設面だけではなく、日常保育の中でもさまざまな工夫を凝らした保育を行っています。
当園の保育に対する基本的な考え方は「遊びの中から学ぶ」です。
そして「思いついたことは否定をせずに何でもやってみる」というポジティブ思考を現場の先生たちと共有しながら、具体的な保育手法を決めて運用しています。
例えばカリキュラムのひとつである習字は、当園では一般的な書道ではなく「楽書(らくしょ)」という珍しい指導方法で行っています。
「楽書」とは、体操などによって呼吸を整え、精神を安定させながら古代象形文字を書く書道です。
書家の先生に指導していただき、子どもたちは一人ひとりの感性を発揮し、楽しみながら文字の成り立ちを学んでいます。
またお絵描きや体操だけではなく、タブレット端末にも積極的に接する機会を設けています。
ただし利用時は、ゲームや動画視聴ではなく、できるだけ別の楽しみ方を感じてもらう使い方の指導を心がけています。
このように当園ならではの特徴的な活動は、時間やカリキュラムの制約がある幼稚園と異なり、子どもたちと接する時間が長い「保育園の強み」だと思います。
その強みを生かしながら「遊びの中で子どもたちが学んだこと」が、自然と小学校へ繋がっていく園の運営と教育を目指しています。
「WAKU♡DOKI(ワク・ドキ)」は、園の「魅力」や「らしさ」を子どもたちと職員が共有するための合言葉
当園にはユニークな合言葉があります。
毎日の保育生活の中で、子どもだけではなく先生たちも、**「楽しいときは、ワクドキいぇーい!!」**とみんなで声に出しながら活動しているのです。
散歩や体育指導などすべてを「WAKU♡DOKI体験」という呼び方をしており、タブレット端末も「WAKU♡DOKIタブレット」、今回制作したユニフォームも「WAKU♡DOKIコート」「WAKU♡DOKIエプロン」という名前で呼んでいます。
「ワクワクする」「ドキドキする」と一緒に声に出すことで、楽しい気持ちになるだけではなく、子どもたちと先生たちとの一体感も生まれるという富士見保育園ならではのキーワードだと思っています。
実はこの「まいにちが WAKU DOKI たのしいあそびがてんこもり」というキャッチコピーは、保育園としては稀な例ですが、商標を取得しています。
これは権利を考えた施策というよりも「自分たちの園だけが使う言葉」を持つことで、子どもたちや先生の帰属意識を高めて、他園との差別化を図ると同時に園外へ対しては「魅力を発信」するという「ブランディング活動」の一環であると考えています。
オリジナルユニフォームを制作することが、富士見保育園のブランディング
当園は2年前(2020年)に創立50周年を迎え、記念式典の準備を進めていましたが、コロナ禍の影響で残念ながら中止になってしまいました。
そこで式典の代わりに、何か記念に残ることをやりたいと画策していたところ、「新しいユニフォームを作る」というアイデアが出ました。
これまで先生たちは入園式などの行事では、いわゆる保育園の定番ユニフォームである「ピンク色のスモック」を着用することが慣習になっていました。
しかしそのような行事では、保護者や来賓の方との大切な接点にも関わらず、その都度ユニフォームの補充を繰り返しており、色や形が不揃いなので「見栄えの点」においても課題を感じていました。
これが、今回のユニフォーム制作の動機のひとつだったと思います。
もうひとつの背景としては、ユニフォーム制作をブランディング活動として考えたことです。
業界全般に言えることですが、園の経営や運営に対し「保守的」なところがあり、少子化のなか現実となっている「定員割れ」に対しても、園児を集めるための活動が遅れていると感じていました。
そのような中で、特徴的な建物や園のコンセプトを発信する印刷物によりブランドを表現している園は見受けられますが、「オリジナルのユニフォームを通じて園の魅力を発信する」ことに取り組んでいるところは少なかったので、差別化を図れると思い、是非とも実現したいと考えました。
このような課題や背景と50周年の記念企画のアイデアがタイミングよく結びついた結果、ブランディングの一環としてオリジナルのユニフォーム制作がスタートしました。
探していたのは、私たちの「想い」や「考え方」を理解して園のイメージを体現してくれるユニフォームを制作してくれる会社
ユニフォーム制作は初めての取り組みでしたが、「園を象徴するような『ワクワクドキドキ』するオリジナルデザインにしたい」という「熱い想い」だけはありました。
しかし具体的な制作の進め方も分からない中で、私たちの「想い」や「考え方」を理解して、それをユニフォームという形にできる会社があるのかは非常に不安でした。
最初にシタテルの事例を見ましたが、さまざまな規模や業種の企業と取り引きをしており、デザインの素晴らしさと同時に、ユニフォームに企業のブランディングを反映させているところが大きな特徴だと理解しました。
そこでシタテルとコラボレーションすれば、必ず満足するものができるだろうと考え依頼を決めました。
オリジナルデザインだから表現できる園の魅力
● 今までの保育園のイメージを払拭して他園との差別化ができる
● 明るくスマートなデザインで園のイメージが良くなり職員のモチベーションが上がる
● ユニフォームを通じて当園の魅力を発信できる
など、何点か希望を伝えた後、シタテルからデザインの提案がありました。
最初のデザイン提案をもとに園内部でも検討を重ね、シタテルと一緒にブラッシュアップすることで、最終的にはとても満足のいく仕上がりになったと思います。
エプロンは、遊び心あふれるカラフルな水玉模様が印象的なワンピーススタイルで、おしゃれなだけではなく保育という仕事に対する信頼感を感じます。
従来の保育士のエプロンのイメージを超えた、オリジナリティのある素敵なデザインです。
またコートにおいても、定番の綿素材ではなくポリエステルの生地を採用することで、柔らかくスタイリッシュでおしゃれ感のある仕上がりになりました。
袖を折り返すと水玉のデザインが現れたり、ボタンの色が全て異なる仕様にする仕掛けは、園内部の話し合いをもとにシタテルにリクエストして実現したものです。
「ボタンがすべて違う色であれば、きっと子どもたちが喜んで押すからおもしろい」など、先生ならではの素敵なアイデアが盛り込まれています。
そして、式典などオフィシャルなシーンの利用を想定した、カラフルな水玉模様のオリジナルスカーフは、結び方を楽しむことができ、保育士の個性も発揮できるアイテムとなりました。
園の「魅力」を職員が自覚して身体に浸透させていくことで、初めて外に向い「発信」ができる
今回のユニフォーム制作は、「私たちの保育園の魅力とは何か」「どのような保育園にしたいのか」を、保育士を含めた園全体で考えるいいきっかけになったと思います。
当園保育の方針である「遊びから生まれる学び」や、私たち自身の信条でもある「自分を含め全てを肯定し楽しみながら挑戦をする」ことなど、改めて職員全員で再確認して共有ができたと考えています。
新調したユニフォームを着て楽しそうにお互いの写真を撮影している先生たちには、モチベーションが上がりパワーが溢れるのを感じます。
着用するユニフォームによりマインドが変化する様子をみていると、改めて取り組んでよかったと実感しています。
富士見保育園ではすべての取り組みやツールに「WAKU♡DOKI」があると考えています。
そのため今回制作したオリジナルユニフォームも、ただの「エプロン」や「コート」と呼ぶのではなく「WAKU♡DOKIエプロン」「WAKU♡DOKIコート」と呼んでいます。
最初はなかなか馴染めなくても、その呼び方に信念を持ち全員で日常的に使い続ける「継続性」こそが、当園の目指す姿を徐々に「浸透」させる鍵になると考えているからです。
時間をかけながらその「想い」を個人個人へ「浸透」させていくことで自分たちのものになり、初めてそれを外に向かって発信することができるのです。
それが富士見保育園流のブランディングではないかと思っています。