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【ニュースレター】アパレル業界の生成AI活用に関するアンケート調査 他業界と比べて導入率は穏やかな一方、業界特性が生むユニークな活用

シタテル株式会社(本社:熊本県熊本市、代表取締役:河野 秀和、以下、シタテル)は、アパレル関連企業の経営者・役員を対象に、アパレル関連企業における生成AIの活用実態調査を行いました。

■調査背景

テクノロジーの進化とともに、生成AIは急速に社会へ浸透し、各産業における業務プロセスや働き方に大きな変化をもたらしつつあります。特に、情報の収集・整理・自動的なアウトプットの創出といった業務においては、AIの活用が新たな生産性の源泉として注目を集めています。

一方で、アパレル業界における生成AIの活用は、全体像がまだ明らかになっておらず、導入の進捗状況や効果的な活用方法、さらには業界特有の課題についても、実態の把握が十分に進んでいないのが現状です。特に、感性や創造性が求められるこの業界では、生成AIをどのように業務に取り入れるのか、業界全体が模索している段階にあります。

こうした背景のもと、シタテルでは、業界のデジタル化を支援する立場から、生成AIがどのように受け入れられ活用されているのか、アパレル関連企業の経営層を対象に、生成AIに関する調査を実施しました。

■調査サマリー

・アパレル関連企業に勤務する経営者・役員の3人に1人が、「生成AIを業務に導入している」と回答。
・一方で導入しておらず、検討もしていない企業は約半数にのぼる。
・生成AIを活用している業務は「デザイン業務」(55.6%)や「商品企画」(38.9%)が上位。
・一方で「導入したが活用が不十分」(50%)、「適切に運用するための専門知識を持つ人材が不足」(33.3%)などの課題を感じる声が聞かれた。

■調査結果

①アパレル企業の経営者・役員の3人に1人が、「生成AIを業務に導入している」と回答

あなたの会社では、生成AIを業務に導入していますか?」と質問したところ、「はい」の合計が33.3%で、3割以上のアパレル関連企業の経営者・役員が導入していると回答しました。

②約7割が「ChatGPT」を利用

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」「いいえ(導入していたが、解約した)」と回答した方に、「現在または過去に利用したことのある生成AIを教えてください。(複数回答)」と質問したところ、「ChatGPT」が69.4%、「Gemini」が22.2%、「Copilo」が13.9%という回答となりました。

③生成AIを活用している業務、「デザイン業務」や「商品企画」が上位

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」「いいえ(導入していたが、解約した)」と回答した方に、「どのような業務で生成AIを使用していますか。過去に使用していた業務も含めて教えてください。(複数回答)**」**と質問したところ、「デザイン業務(アイデア出し・スケッチ・ビジュアル制作など)」が55.6%、続いて「商品企画(コンセプト・キャッチコピー作成など)」38.9%、「マーケティング(広告制作・SNSコンテンツ作成・投稿管理・効果分析)」36.1%という回答となりました。

④生成AIの導入理由、「生産性向上のため」「既存業務の効率化のため」が半数以上にのぼる

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」「いいえ(導入していたが、解約した)」「いいえ(導入したことはないが、検討している)」と回答した方に、「生成AIの導入を決定した(検討している)理由を教えてください。(複数回答)」と質問したところ、「成果の最大化のため」が52.8%、「既存業務の効率化のため」が50.9%、「競争力強化のため」が32.1%という回答となりました。

⑤生成AI導入後、約7割が「業務効率・生産性の変化」や「コストパフォーマンスの評価」への効果を実感

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」「いいえ(導入していたが、解約した)」と回答した方に、「生成AI導入後の効果について、以下の項目ごとに評価をお聞かせください。」と質問したところ、業務効率・生産性の変化は「非常に良い」が19.4%、「やや良い」が50.0%、コストパフォーマンス(ROI)の評価は「非常に良い」が8.3%、「やや良い」が61.1%という回答となりました。

⑥導入後の課題や解約の理由は「十分に活用できていない」「専門知識を持つ人材が不足している」など

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」「いいえ(導入していたが、解約した)」と回答した方に、**「導入後の課題または解約の理由を教えてください。(複数回答)」**と質問したところ、「とりあえず導入したが、十分に活用できていない」が50.0%、「生成AIを適切に運用するための専門知識を持つ人材が不足している」33.3%、「社内教育体制が整っていない」30.6%という回答となりました。

⑦導入前の課題は「生成AIを導入・運用できる人材が不足している」「適切なデータの収集・管理が難しい」が同率1位

①で「いいえ(導入したことはないが、検討している)」と回答した方に、**「導入に向けて課題に感じていることを教えてください。(複数回答)」**と質問したところ、「生成AIを導入・運用できる人材が不足している」が35.3%、「適切なデータの収集・管理が難しい」が35.3%という回答となりました。

⑧生成AI導入を検討していない理由は「生成AIの導入が必要な業務がない」が74.5%で最多

①で「いいえ(導入したことはなく、検討もしていない)」と回答した方に、**「導入を検討していない理由を教えてください。(複数回答)」**と質問したところ、「生成AIの導入が必要な業務がない」が74.5%で7割以上となりました。

⑨41.6%が、今後の生成AIの活用について、「活用をさらに拡大し、新しい業務に適用したい」と回答

①で「はい(国内のみ)」「はい(海外のみ)」「はい(国内・海外どちらも)」と回答した方に、**「今後検討している、生成AIの活用範囲について教えてください。」**と質問したところ、「活用をさらに拡大し、新しい業務に適用したい」が41.6%、「現在の範囲での活用を継続する」が22.2%という回答となりました。

■まとめ

本調査から、アパレル業界における生成AI活用がまだ一部にとどまり、多くの企業が導入を「検討中」あるいは「様子見」の段階にあることが明らかになりました。生成AIを業務に導入している企業は全体の約3割で、特に「導入が必要な業務がない」とする企業が半数近くを占めている点は、他業界と比べても特徴的です。

一方で導入企業の7割以上が業務効率化や生産性向上といった成果を実感しており、特にデザインや商品企画など、創造性が求められる領域で生成AIが有効に機能していることも明らかになりました。

他業界では、カスタマーサポートの自動化や社内業務の効率化といった“定型業務”への活用が広がる中、アパレル業界では「感性」や「発想力」が求められる業務への導入が先行している点も大きな特徴です。

導入企業が感じている課題は、運用人材の不足や社内教育体制の不備など多くの企業に共通しており、「導入すればすぐ成果が出る」という状況ではありません。今後は、アパレル業界におけるユースケースの可視化・共有や、外部からの活用支援・教育支援を通じた裾野の拡大が、業界全体の活用促進の鍵となるでしょう。

シタテルはこれまで、衣服・ライフスタイル製品の企画から生産管理の一元化による業務効率化と、サプライチェーン全体の可視化・多様化を支援するプラットフォームを提供してきました。生成AIのような新たなテクノロジーが加わることで、従来属人的であった創造プロセスにも再現性と拡張性が生まれ、各ブランドの個性を活かしながら、より柔軟で創造的なものづくりが可能になると考えています。

今後もシタテルではプラットフォームの提供を通して、衣服・ライフスタイル産業の新たなものづくりのエコシステムとなり、業界の未来を築いてまいります。

■調査概要
・調査テーマ:アパレル関連企業における生成AIの活用実態調査
・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2025年4月14日〜同年4月18日
・調査対象:アパレル関連企業の経営者・役員108名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100にはなりません。