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キーワードは「コミュニティ」。これからのヒトとファッションの関係。

表参道のTRUNK(HOTEL)開業準備室で開かれたトークセッション「Fashion×Community×Technology―これからのヒトとファッションの関係」。週半ばの平日夜にも関わらず、会場は立ち見が出るほど多くの人で溢れていた。ファッション業界だけでなく、音楽、ブランディング、ウエディング、商業施設など、バックグラウンドは様々。「コミュニティ」をどうビジネスにするのか、どうやってより「コミュニティ」の結束力を高めるのか。そこでキーとなる「ファッションの果たす役割」「テクノロジーが果たす役割」を紐解いていった。

コンテンツ”フリー”の時代にどうやって儲けるか。

トークゲスト1人目は、これまで様々なトレンドを創り出してきたファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地彩弓さん。「VOGUE girl」「GLAMOROUS」「GQ」など数々の雑誌編集部を経て、現在は「NuméroTOKYO」のエディトリアルディレクターを務める。
「雑誌もそうですが、音楽や映画などコンテンツはどんどんフリーや定額制になっています。コンテンツそのもので儲けようとするのではなく、それを軸としてビジネスを多角化する必要がある」 そんな新しいコンテンツビジネスの在り方を示す、先進的な取り組みの例として紹介いただいたのが、音楽アーティストの「サカナクション」手がける複合ライブイベント「NF」。

NIKE Air Max Revolution Tokyoの様子 右は軍地さんによるAirMAXを用いたスタイリング(軍地さん撮影)

「音楽自体は”ファンづくり”という役目を果たします。そこから、CMでスポンサーをつけたり、共感の場としてのライブ、ファンクラブ、そしてファンの証としてのグッズ物販など、周りの部分でマネタイズしていく。いわば”共感でビジネスする時代”だと考えます。最近だとNFはNIKEのイベントを一部プロデュースするなど、まさに音楽で集めた共感コミュニティを活かして、ファッションとコラボレーションしています」(軍地さん)

テクノロジーを使って、主体的な発信を。

さらに、軍地さんが強調するのは「自社発信」の重要性。音楽アーティストも、新しいブランドを始める人も同じで、コツコツと発信を続けていくことが大事だと言う。
「テクノロジーは血管のようなもの。せっかく発信を巡らせられるSNSがあるのだから、大きい企業に声をかけてもらったり、有名なメディアに取り上げてもらうのを待つのではなくて、まず自分の周りから伝えていけば良いと思うんです。今の時代、”他力本願”ではなく”自力本願”ですよ」(軍地さん)

ファッションを持ち込むことで変わる、ものごとの見え方。

二人目のトークゲストは、”体験をデザインする会社”dot button company代表の中屋祐輔さん。これまでに大手アパレルメーカー、マーケティング会社、ヤフーの社会貢献推進室などで、地域コミュニティとファッションを掛け合わせたプロエジェクトやイベントなどを手がけ、この春dot button companyとして独立された。

東北の若手漁師コミュニティの「FISHERMAN JAPAN」では、漁師のイメージを変えて憧れの職業にするために、URBAN RESEARCHと組んでデザイン性の高いプロユース仕様の漁師ウェアを開発。また熊本地震の復興を目指すクリエイター集団「BREADGE KUMAMOTO」の BLUE SEEDバッグ は、震災後壊れた家屋を覆っていたブルーシートをリプロダクトして、おしゃれなトートバッグにした。様々なメディアにも取り上げられ、発売後すぐに売り切れた。多くの企業や団体からコラボレーションの声もかかっている。
「マイナスに捉えられがちなものに対して、”ファッション性”という仕掛けで見方を変化させている。そして、仲間を集める媒介にもなっています。ファッションアイテムが、つながりを可視化するという役割を果たしています」(中屋さん)

ストーリーや過程をオープンにすることでまた仲間が増える

また、会場のオーナーであるTRUNK(HOTEL)も、2017年5月の開業に向けてシタテルと共にものづくりを進めている。TRUNK(HOTEL)は、多種多様な人々のハブとなり、まさにこれから渋谷の新しい「コミュニティ」の場となるホテル。ヒトやアイデアが繋がることで、楽しみながら社会を元気にするという「ソーシャライジング」をコンセプトに、観光や体験、ストアなど、幅広い事業を展開する。ストアでは、ファッションアイテムも販売する。TRUNKの桐山さん、山岡さんから、シタテルと共同で開発したアイテムの一部を会場で一足早くお披露目。ミニマルで統一されたデザインだが、ひとつひとつのモノにしっかりとしたストーリーがある。その制作過程からSNSで発信し、開業前から多くの人を巻き込んでいるところも新しい。
「作る過程もオープンにすることで、面白いですねって興味を持ってくださる人が増えて、いつの間にか一緒に作り上げる仲間になっていたり。僕らはそんなスタンスです。クリエイターの人たちももっともっと巻き込みたい」(桐山さん)

ファッション×コミュニティで生まれる新しい価値。

様々な事例を通して見えてきた”ファッションの果たす役割”は、「共感圏を見える化する」「ポジティブに変える」「モチベーションを上げる」など。一方「仲間を集める」「ストーリーをオープンにする」といった”テクノロジーによる環境整備”も、コミュニティを広げ、結束を強くするために大事な要素だ。

「いまは検索すればなんでも調べられるようになりましたが、最近だと逆に、知り合い伝いでの仕事の依頼やお願いすることが増えている気がします。情報が溢れる時代だからこそコミュニティの力が必要とされているんじゃないかなと」(中屋さん)

「テクノロジーによる変化で、物が売れないとかものごとが複雑化しているという側面もありますが、逆に何かしようと思えば若くても自力で始められるという意味では良い時代。やりたいことと、自分に足りないことを明確にして、欠けている部分は誰かに協力してもらって。ぜひ今日のイベントもひとつのコミュニティとして横の繋がりができるといいですよね」(軍地さん)

軍地さんのお言葉どおり、トークショー後はのネットワーキングパーティーでは、様々な業界の人が繋がりそれぞれのビジネスの話をしたり一緒にできることを考えたり。終了時刻を過ぎてもなかなか引かないほどの熱気に包まれていた。ここから、またひとつふたつ、新しいプロジェクトが生まれそうだ。

2017.5.1

【登壇ゲスト紹介】

「Numéro TOKYO」エディトリアル・ディレクター

軍地彩弓 氏
ファッション・クリエイティブ・ディレクター。「ViVi」編集ライターからキャリアを始め、「GLAMOROUS」ファッションディレクター、「GQ」編集長代理、「VOGUE girl」創刊・クリエイティブディレクターを務める。ギャルブームやセレブブームを巻き起こすなど、数々のブームを生み出した。現在は、「Numéro TOKYO」のエディトリアル・ディレクターとして活躍する傍ら、株式会社gumi-gumiの代表として、ファッション・コンサルティングやプランニングなども手がける。また、2017年4月より開校する「Tokyo Fashion-technology Lab.」理事に就任。

dot button company株式会社

中屋祐輔 氏
コミュニケーションデザイン・ディレクター。これまで、大手アパレルメーカーのマーケティング、ヤフー株式会社にて「復興デパートメント」リブランディング、東北の若手漁師集団「FISHERMAN JAPAN」のファンクラブ担当、熊本地震の復興クリエイティブチーム「Bridge KUMAMOTO」の理事を務める。2017年4月よりdot button company株式会社を設立、様々なプロジェクトでファンコミュニティに関わる体験をリアル、デジタル共に一気通貫でプロデュースする。

【イベント概要】

「Fashion×Community×Technology―これからのヒトとファッションの関係」 
開催場所:TRUNK(HOTEL)開業準備室 
開催日:2017年3月29日(水)19:00~22:00

 

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