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20歳女性が立ち上げたInstagram世代ブランド「juemi」が支持される理由

 2014年、当時20歳だった滝口樹理さんが立ち上げたレディースブランド「juemi」。海外から仕入れたウエアや小物の販売からスタートし、2016年以降はオリジナル商品の開発にも着手。現在は、商品数、売り上げともにセレクトとオリジナルの割合は同じ程度を占めるまでになった。

juemiの特徴を挙げるとすれば、ディレクターの滝口さん自らがアイコンとなり、いち早く商品を身につけ、SNSに写真をアップすることでファンを増やしてきたことだろう。「ファッションも投稿も、シーンと馴染んでいて自然体なことが何よりも大事」と繰り返し語る滝口さんに、ブランドを立ち上げるまでの経緯と今後について話を聞いた。

スーツケースひとつとフリマアプリで始めたセレクトショップ

小学校1年生から3年生までを中国で過ごし、現地の学校に通っていたという滝口さん。その時、全身下着まで学校指定というファッションにおいて自由のない環境を経験した反動からか、中学卒業後は「好きな服を着て過ごしたい」という理由で通信制高校に進学した。在学中から109にショップを構えるブランドでビジュアルスタッフとして働いた後、休みを使って海外へ。ここでの経験が、juemiの原点となる。

「フリマアプリで売ってみようかなと思って、市場でスーツケースひとつ分の買い付けをしたんです。自分の好きな服を2~3着ずつ。そのときは、ちょっとしたお小遣いになったらいいなという感じでした」

いざ販売をはじめてみると、人気に火がつき1ヶ月足らずで完売。その後、同じアイテムを仕入れて販売を続けていたが、すべてひとりで行うには限界があったことや、人と接するのが好きなのにオンラインでのやりとりに終始してしまう物足りなさもあり、一度離れることを決める。

ファッションは人とつながるためのツール

そんなときに知人の紹介で出会ったのが現在の取締役となる加藤氏だった。

「知人に将来のことを聞かれた時に、それまでは『若いし、大丈夫』と思えたのが、『このままじゃ何にもできないかも』って。自分には何ができるんだろうと考えて、商品を仕入れて販売するのが好きで実績もあると話したらすごく驚かれて。それで紹介してもらったのが加藤さんだったんです。そこから会社を設立して、オンラインのセレクトショップから始めました。最初は地味な作業の連続でしたよ」

日々のSNSでの発信からファンも増え始め、2016年からはチームにアートディレクターの本間氏が加わり、オリジナルアイテムを展開。滝口さんは、商品のセレクト、スタイリング、SNSでの発信に加え、ブランドディレクターとしてオリジナル商品のデザインを手がけるようになる。


photo : juemi より提供

各工程のプロにイメージを伝え、細かく修正を繰り返し、仕上げていく。セレクト商品と比較すると、手間と時間をかけている分価格も上がるが、ファンからの人気は高い。理想を忠実にかたちにするにあたって、自社のネットワークだけでは難しくなり、シャツとパーカーを製作する際にはシタテルを利用することに。デザインのイメージソースとなるのは、もっぱら街で見かける女性たちだ。

「一目見て忘れられないくらいかわいい人を見て、この人だったら、どんな服を好んで着るのかなとイメージを膨らませていきます。その人になりたいというよりは、その人の真似をしたら、私も他の人からそういうふうに思ってもらえるんじゃないかって思うんですよね。こういう考え方をするのは、私が自分に対して自信がないタイプだからだと思うんです。ファッションの魅力って、どんな服を着るかで、内面まで変わりますよね。その場に馴染めたり、目立てたり、初めて会う人と盛り上がれたりもする。私にとってファッションはツールなんです」

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photo : juemi より提供

シーンに溶け込んでいることが大事だからインスピレーションはリアルな女の子

滝口さんのイメージソースになる女性に共通点はあるのだろうか。

「SNSではなく、リアルな女の子から刺激を受けているのは、ファッションとシーンの関係性を大事にしているからだと思います。19歳で海外を旅した時に思ったのは、日本の女の子はファッションの研究をしすぎているんじゃないかということでした。暑いのに化粧もものすごく濃かったり、砂利道を細いヒールで歩いていたり、ファッションとシーンがちぐはぐになっているのを目にしたことは大きかったです」

滝口さんのファッション観の軸となるこの価値観は、Instagramで発信する際にも生かされている。商品はシーンと商品をあわせて提案するのがこだわりだ。一方でポップアップイベントなどリアルショップにも力を入れているのも興味深い。ラフォーレ原宿でポップアップショップを展開したが、Instagramの告知だけで毎日多くのファンが押し寄せた。

「SNSフォロワーの方とも実際にお話しして、その存在を実感できるのはリアルショップならではですよね。ときには、『あの方が来てくれたから、こんな商品を作ってみるのもいいのかも』といったようにお客様の顔が浮かんで、アイデアがわくこともあります。正直なところ、売り上げだけを考えるのであればSNSとECだけで十分。ポップアップをやるのは、そういう声を聞きたいからです」

上質でずっと大事に着たいと思える服を

「たくさんの方にjuemiを知ってもらいたいですし、シンプルだけどこだわりのあるブランドとして認知してもらえたらうれしいです。商品の展開については、年齢層の高い人に向けた上質なアイテムを増やしていきたいと考えています。もしかしたら、若い人たちにはまだわからないかもしれないけれど、1回着ただけで『もういいや』と思うような商品は作りたくないんですよ。私やjuemiのファンの方には、繰り返し大事に着たいもの、身にまとうだけでテンションが上がったり、リラックスできるような服でクローゼットを埋めていってほしいなと思っています」

ファストファッション世代のリアルな価値観も理解しているからこそ、本当にいいものを大切に着るというスタイルを提案したい。そう話す23歳の滝口さんは、どんな分析をするマーケッターよりもずっと現実的な感覚を持っているかもしれない。ファッションもSNSも楽しむ女の子たちを次世代のライフスタイルへと導くjuemiに、ブランドの新しい未来を見た気がした。

text by Hiromi Kajiyama, sitateru magazine編集部

photo by Ryosuke Iwamoto

2017.9.18

株式会社Juemi 代表取締役/ディレクター 

滝口樹理

1994年生まれ、東京都出身。高校在学中に109内のショップでビジュアルスタッフとして働き始める。その後、juemi立ち上げのきっかけとなる中国で買い付けたウエアや小物の販売を開始し、好評を得る。19歳の時に世界各国を旅した際、シーンに合わせたファッションの追求こそ、自分のライフワークになると確信し、2014年に20歳で株式会社juemiを設立。商品の仕入れと販売を行う。2016年よりオリジナルアイテムの制作をスタート。シャツ、スウェット、パーカーなどの定番アイテムはファンからの人気も高い。

juemi  HP : https://juemi.jp/

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