試験的に導入したクラウドを利用した生産管理は、 新しい工場とスムーズな取引ができるだけでなく従来の課題も解決
株式会社アセント/ ATHA(アタ)
アパレルブランドの運営
ATHA(アタ)
https://www.ascente-group.co.jp/atha
「年齢/性差に縛られることのない服」というジェンダーレスで、エイジレスをブランドコンセプトとして掲げ、最大の強みである平面的なパターンによって生まれる唯一無二なシルエットによって、どんな人にも似合う洋服を提案するブランド「ATHA」を展開
株式会社アセント
目的
- 既存の工場や資材業者では対応できなかった新商品制作の依頼先を探す
- デジタルワークフローを実際に利用して効果を見極める
結果
- シタテルのサプライヤーネットワークにいる工場とすぐに取引きを開始でき、生産背景の拡充ができた
- 工場と同じ情報をリアルタイムで共有できるので、スケジュール管理が楽になった
- 取引先に依頼したことや返答が「見える化」されるので、コミュニケーションがスムーズになり、「言った、言わない問題」がなくなった
- 工場や資材の請求が一本化され、事務効率が上がった
利用サービス
生産管理をデジタル化するメリットは、同じ情報をリアルタイムで共有できるためコミュニケーションの無駄やミスが激減する
特徴的なコンセプトであると同時に、生産効率も上がる
新しいブランドのコンセプトは、「ジェンダーレス」「ワンサイズ」。株式会社アセントは、創業84年(2021年現在)になる洋傘やレインウェアが主力の老舗企業です。
百貨店やメーカーのOEMなど、ロット数の大きいビジネスを手掛けています。
一方で数年前より「ブランド事業部」の新しい挑戦として、地方や個人ショップ向けのブランド「ATHA(アタ)」を、付加価値の高い小ロットのビジネスとして立ち上げました。
既存のブランドが数多くあるなかで、新しいブランドの特徴を出すことは大きな課題でした。
そこで「ATHA」は、今まで数々のブランドの企画から生産・販売の経験をもとに「気になっていた点」を改めて考え直し、新しいコンセプトを再構築することで差別化を目指しました。
かつて売り場に立ち接客をしていた時、お客様がサイズやカテゴリーに縛られて自由な選択をできない光景を目の当たりにしていたので、「サイズを沢山揃える必要があるのか」「メンズやレディースなどのカテゴリー分けは本当に必要なのか」と感じていました。
このような現場の問題意識から、「ATHA」のコンセプトである「ワンサイズ」「ジェンダーレス」は生まれました。
このコンセプトはブランドの世界観やデザインと深く関係しますが、生産管理上もいくつかのメリットがあります。それはSKU(在庫管理上の最小の品目数)が減り在庫管理が楽になることや、小ロットなので工場の繁忙期を避けて発注できるなどの効果です。
「sitateru CLOUD」を導入した3つの理由
このように「ATHA」は全てのデザインがワンサイズなので、生産はシンプルな工程で進めることができます。そのため以前、シタテルから生産管理のデジタル化を提案された時は、既存の取引先と運用や制作フローには慣れていたため、必要性を感じておらず、導入は見送ってきました。
しかし2021年春夏コレクションの新作で、「sitateru CLOUD」を使うことになりました。利用を決めた理由は3つあります。
新規取引先工場の拡充
新商品にデニム素材を採用したため、既存工場や資材業者では対応ができず、新しい取引先を見つける必要がありました。
このサービスは既にシステムを利用している工場や資材業者に仕事を依頼できるため、一から新しい取引先を探す必要がない点は業務効率化の観点で大きな魅力でした。
コンシェルジュサポート
シタテルが弊社の仕事のやり方や目指すクオリティ、また制作したいアイテムに合った工場を紹介してくれることでした。
単なるシステムの提供ではなく、立ち上げ時に担当者がコンシェルジェのように業務をサポートしてくれることも、安心して利用を決断できた理由のひとつです。
オンライン対応可能なシステム
感染症の影響で、工場に出向いて打ち合わせることがむずかしい環境であったことです。
今まで新しい工場と取引をはじめる時は、技術や体制などを直接確認し、取引するかを判断していましたが、今回はそれができなかったことも背景としてありました。
以上の理由でシステム導入を決めましたが、2つの新商品以外は今まで通りのやり方で制作したので、あまり構えずに「試しに使ってみようか」という気持ちで取り組むことができたと思っています。
仕様書やスケジュールの生産情報がリアルタイムで共有できるので、ミスが減り効率的に仕事が進む
2つのアイテム限定とはいえ、当初は使いこなせるか不安はありましたが、取引する工場は既に「sitateru CLOUD」に慣れており、すぐに活用することができました。
また実際に利用してみると現状の多くの課題が解決できる仕組みだと感じました。
たとえば、これまではメール送信後に内容が正確に伝わっているかどうかを電話で確認していましたが、「sitateru CLOUD」では、こちらからの情報が伝わったかどうかをいつでも確認できる機能があったり、複数案件が進行している中でも、アイテムごとに最新の情報が工場と共有できる点はスケジュール管理に非常に有効でした。
また細かい機能ですが、工場からメッセージが届いた時はアラートで知らせてくれるので、見落としや確認漏れなど、ヒューマンエラーの防止になりとても助かりました。
他にも利用する前はそれほど意識をしていませんでしたが、工場や生地・副資材など複数の取引先への支払いが自動集計して一本化されるので、事務処理などのバックオフィス業務が大きく効率化できたこともデジタルを使った生産管理の大きなメリットだと思います。
デジタルワークフローは今までのやり方を変更するのではなく、追加することで課題が解決できるツールのひとつ
仕様書だけでは表現が難しい「デザインや仕上りのニュアンス」が、新しく取引する工場に伝わるのかという当初抱いていた不安は、補足的に電話によるコミュニケーションも併用しながら仕事を進めました。
今後デジタル化が進んでも、アナログのコミュニケーションは大切にしたいと思っています。
今回「sitateru CLOUD」を利用して感じたことは、このサービスは従来のワークフローの課題を解決して補完する便利なツールのひとつだということです。
デジタル化することは、すべてをシステムに置き換えるのではなく、今までのやり方に新しい手法を「プラスすること」で仕事を効率化することだと考えています。
少数精鋭でブランドを運営している企業やデザイナーには、クラウド利用の生産管理を薦めたい
今回は2アイテムのみの限定的な利用でしたが、導入効果には大変満足しています。
生産管理部門や担当を持たない少数精鋭で運営している小規模なブランドにとっては多くの恩恵が得られるツールだと思います。
工場や資材探しだけでなく、取引先の口座開設の手続きや経理の効率化、さらにオンラインの展示会まで、クラウド上で完結できることは大きなメリットになります。
また、シタテルには業界に精通した方が多いので、ブランドに合った工場の紹介までサポートしてもらえる点は、単なるシステムを提供する会社ではないこのサービスの大きなポイントです。
システムのアップデートも頻繁に行われているため、使い勝手や機能がさらに改善すれば、将来的にはこのツールだけで生産管理の進行ができるようになると感じています。
クラウド利用の生産管理をまだ経験されていない方には、「試験的にでも」一度利用してみることを薦めたいと思います。