事例

JR九州の新規事業「古民家再生プロジェクト」の館内着制作をプロの知見でサポート

九州旅客鉄道株式会社

旅客鉄道事業を中心に、海上運送事業、旅館業及び飲食店業他、グループ会社43社で多くの事業を九州全般で展開


https://www.jrkyushu.co.jp/


茜さす 肥前浜宿


「洗練された別荘に、住まうように泊まる」をコンセプトにJR九州が新たに始めた古民家宿泊事業。

地域の人々と連携し、その土地の歴史と文化を体感する、上質な宿泊施設を目指す


https://www.akane-sasu.com/hizenhamashuku/


事業開発本部 開発部 まち創造課
幅 亮太 様

目的

  • 新しいホテルのコンセプトを実現するため、着心地の良い館内着を制作したい
  • デザイン・着心地・コスト・メンテナンス性のバランスをとるために、アパレル生産によるプロのアドバイスがほしい

結果

  • 顧客として利用した施設の館内着がシタテルで制作したものだったので、安心して依頼することができた
  • 宿のコンセプトを理解し、的確な提案をもらうことができた
  • 基本となるデザインを元にプロのアドバイスで素材やデザインをカスタマイズすることで、満足いく唯一無二の館内着に仕上がった

利用サービス

「洗練された別荘に、住まうように泊まる」というコンセプトを実現するため、着心地にこだわった館内着

社内コンペで採用された「地域活性化」をコンセプトにした新規事業プロジェクト

2022年1月14日に開業した古民家宿「茜さす」は、佐賀県鹿島市の造り酒屋が所有する町家をリノベーションした宿です。

客室は2室のみで、1日1組限定。スタッフは常駐せずにパスワードによるチェックイン方式を採用。

また客室の準備や館内のメンテナンスは、地域の方々に協力をお願いするなど新たな取り組みを行いながら、コンセプトである「洗練された別荘に、住まうように泊まる」という新しい旅の提案を行っています。

この企画は、「地域活性化」をコンセプトにした新規事業の社内コンペに私が提案したプロジェクトで、200件ほどの企画提案から最終的に採用された3件の中のひとつです。

「古民家を再生した宿を中心とした地域活性化プロジェクト」は、これまでのJR九州の企業スケールを生かした大規模なホテル事業とは少し方向性の異なる事業です。

1日に利用できるお客さまが1組までなので、真逆のコンセプトと言えるかも知れません。

しかし私たちは日々、鉄道会社として地域に密着した業務を行いながら、地域社会への貢献を目指しているため、この企画の主旨と合致し、採用に至ったのではないかと思っています。

地域の歴史にしっかりと根ざし残っている「本物」を受け継ぐ人々と一緒に運営する意義

弊社にはD&S(デザイン&ストーリー)列車をはじめとする、さまざまな地域貢献につながる事業を手掛けており、地域に対する思いは社員のDNAにしっかりと刻まれています。

短期的な採算性だけではなく、地域の方々と一緒に長期的に取り組んでいくこの宿泊サービスにJR九州が取り組む意味を感じています。

今回の佐賀県を皮切りに、宮崎県にもオープンを予定しているこの事業は、その地域に残されている古民家や施設をリノベーションして、宿泊施設として活用します。

そしてその古民家は、地域全体の一部として歴史や文化が染み付いた「本物」であることが大きなポイントとなります。

地域の方と一緒にその建造物を「宿」として活用しながら守り受け継いでいくことが、このプロジェクトの重要な目的であり、それができてこそ意味があると思っています。

顧客として利用した施設の館内着を制作した会社がシタテルだった

「洗練された別荘に、住まうように泊まる」という新しいコンセプトの宿を運営するために、お客さまが快適に過ごしていただくための「館内着制作」は大きな課題でした。

視察のために宿泊した古民家の宿泊施設(※NIPPONIA小菅)で、私自身が着用した館内着の着心地がとても良い印象を持ちました。

https://sitateru.com/case/nipponia-kosuge

その館内着をシタテルが制作したと知り「ぜひ、私どもの宿の館内着も作っていただきたい」と思い声をかけました。

これまで取引のあった会社も検討しましたが、既製品の中で選ぶかオリジナルウエアを作るかの2択になり、デザイン性とコストのバランスがむずかしいものでした。

こちらのわがままを「理解」して、プロの視点とノウハウで形にしてくれる

アパレルの制作は初めてでしたが、シタテルに宿のコンセプトや大まかなイメージを伝えることで、デザインや仕様を提案してもらえたのは大変助かりました。

デザインは、シタテルオリジナルのベースデザインを元に、私たちの「わがまま」や「要望」をプロの視点でカスタマイズして、オリジナリティが際立つデザインへと仕上げていただきました。

今回制作した館内着で、特に気に入っているポケットは、「円」の一部を刺繍であしらい、「茜」のイメージを表現しています。

依頼した時点では、ロゴマークが決まっておらず、デザインや刺繍の配置などは、シタテルから提案していただきました。

「茜さす」という言葉は「枕詞(まくらことば)」で、次に続く言葉の情緒を添える役割があり、その言葉自体に強い意味はありません。

このデザインには、そのニュアンスが的確に表現されています。ブランドのネーミングをしっかりと理解いただいているデザイン提案だと思いました。

生地やシルエットなどにこだわり、着心地を追求

着心地には、とてもこだわりました。最初にご提案いただいたシルエットが少し窮屈に感じたので、そこから細かいディテールを修正していきました。

まずベースとなる仕様では、前開きでボタンは縫い付けてありましたが、フラットなスナップボタンに変更し、うつ伏せ寝の状態でも邪魔にならず、さらに着脱しやすく改良しました。

これでボタンの厚みが邪魔にならず、すっぽり上から被ることができるため着脱も楽になったと思います。

また着心地に影響する素材の適確なアドバイスやナビゲーションは、やはりアパレル生産のプロだと感じました。

当初の仕様は、メンテナンスが楽なポリエステルのワッフル生地でした。

しかし「もっと柔らかな肌触りにしたい」というこだわりに配慮していただき、厚みがあり透けない素材の綿と麻の混紡に変更し、イメージ通りの仕上がりになりました。

このように、私たちの「こだわり」を尊重しつつ、「メンテナンス」や「価格」とのバランスを取る提案をしていただき、デザインはもちろん、着心地にも大変満足しています。

福岡と東京でのやり取りでしたが、デザインや生地などの検討の際は、郵送で現物を確認しながら進めましたので、特に不都合はありませんでした。

逆に、シタテル担当者の早いレスポンスにこちらがついて行けず、ご迷惑をかけたのではないかと思っているくらいです。とてもスムーズなやり取りができました。

「茜さす」のコンセプトの宿を九州全域に広げ、次はオリジナルデザインの館内着に挑戦したい

今回、JR九州として新しい取り組みの事業である「茜さす」が佐賀県からスタートしましたが、地域と関わりの深い鉄道会社だからこそできる事業として発展させていきたいと考えています。

宮崎県への出店も決まっており、この2店舗を地域の方々と育てていきながら、将来的には九州全域まで広げていきたいです。

施設が増えてブランドも徐々に浸透していけば、次はフルオーダーでオリジナルな館内着にも挑戦したいと思います。

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